Integral Security Reportインテグラル セキュリティ レポート
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2025-shinwa建設・不動産最終確認 2026-10-13 10:00

信和株式会社の子会社へのサポート詐欺(遠隔操作ソフト導入からネットバンキングで不正送金、損失2億50百万円)

公表日

信和株式会社の子会社(社名非公表)(信和株式会社(東証スタンダード・名証プレミア 3447))
最終報その他認証情報悪用

建設用の仮設資材を販売する信和株式会社の子会社が「サポート詐欺パソコンの画面に「ウイルスに感染しました」「この番号に電話してください」といった偽の警告を大音量で表示し、電話をかけさせて遠隔操作ソフトを入れさせたり、お金を払わせたりする詐欺です。企業が多額の被害を受けた例もあります。」の被害にあい、ネットバンキングから資金が不正に送金されました。損失は2億5000万円です。

いますぐできること

  • パソコンに「ウイルスに感染しました」という警告と電話番号が出ても、その番号には電話しない
  • 知らない相手から遠隔操作ソフトを入れるように言われても従わず、社内の担当者や家族に相談する

何が起きたのか

2025年11月29日、子会社の仕事用パソコンに、ウイルスに感染したように見せかける偽の警告画面が表示されました。使っていた人が画面に出ていた番号に電話をかけると、サポート窓口を名乗る相手から、遠隔操作ソフトを入れるように指示されました。その後、パソコンは外から操作され、ネットバンキングから資金が送金されました。信和は12月3日に資金の流出を公表し、2026年2月9日に調査結果と再発防止策を発表しました。

なぜ起きたのか・なぜ広がったのか

犯人は、偽の警告画面と電話だけで、利用者自身に正規の遠隔操作ソフトを入れさせました。調査では、ウイルスなどの不正なプログラムは見つかっていません。パソコンの中には、ネットバンキングのIDとパスワードを書いたファイルがあり、そのファイルにアクセスされた跡が確認されました。ネットバンキングの追加の確認の仕組みがどのように突破されたか、偽の警告画面がなぜ表示されたかは公表されていません。

いまの状況2026-02-09 時点

2026年2月9日に、損失2億5000万円を費用として決算に計上しました。調査では、社員などが関わった事実はなく、個人情報などが外に流れた跡もないとされています。送金の回数や送金先、取り戻せた金額は公表されていません。再発防止として、遠隔操作ソフトなどを勝手に入れられないようにする制限、不審なサイトへのアクセス制限、全社員へのサポート詐欺パソコンの画面に「ウイルスに感染しました」「この番号に電話してください」といった偽の警告を大音量で表示し、電話をかけさせて遠隔操作ソフトを入れさせたり、お金を払わせたりする詐欺です。企業が多額の被害を受けた例もあります。を含む教育などを進めています。

企業として考えたいこと

自社で、お金を送る操作ができるパソコンに知らない遠隔操作ソフトが入れられたら、何が止めてくれるでしょうか。1人の担当者だけで大きな金額を送金できる状態になっていないでしょうか。

技術的な要約

仮設資材販売の信和株式会社(3447)の子会社で、2025年11月29日、業務用パソコンにウイルス感染を装う偽の警告画面が表示され、利用者が表示された連絡先に架電した。サポート窓口を騙る第三者の指示で遠隔操作ソフト(LogMeIn Rescue、Ultraviewer、Splashtop)をインストール・実行させられ、PCを遠隔操作されてネットバンキングから資金が不正送金された。信和は2025年12月3日に資金流出を公表、12月25日に損失見込みを最大約2億5千万円(暫定)とし、2026年2月9日に外部専門機関のフォレンジック調査結果と再発防止策を公表して、2026年3月期第3四半期に『その他の費用』として2億50百万円を計上した。調査ではPC内のネットバンキングID・パスワードを記載したファイルへのアクセス痕跡が確認された一方、マルウェア検知・大量データ転送・情報流出の痕跡はなく、役職員の関与も認められなかった。回収状況は公表されていない。

公開情報が限られている点について
第1報(2025-12-03『当社子会社における資金流出事案について』)は同社サイトが取得不可(robots拒否)でURLを特定できず、出典に含めていない(内容は2/9の調査結果と報道で補完)。公式は計3報のみで、報道も公式発表の再整理にとどまるため出典は7件。第1報の公表年は2025年だが、id は依頼どおり 2026-shinwa とした。
侵入
2025-11-29
被害発生
2025-11-29
検知
—
第1報公表
2025-12-03
最新続報
2026-02-09
侵入 → 検知
—
侵入日が非公表
検知 → 公表
—
データ(上限)
—
確定 —
波及先
—

攻撃の分類

侵入口
フィッシング公表で確認
サポート詐欺(テクニカルサポート詐欺)。子会社の業務用PCのブラウザ等にウイルス感染を装う偽の警告画面が表示され、利用者が画面上の連絡先に架電。サポート窓口を騙る第三者の指示で、正規の遠隔操作ソフト LogMeIn Rescue、Ultraviewer、Splashtop をインストール・実行した(信和公表で確定)。その後、外部からの遠隔操作でPC内の『ネットバンキングのID・パスワードを記載したファイル』にアクセスされた痕跡があり、ネットバンキングを通じて資金が送金された。偽警告画面が表示された経緯(広告経由・不審サイト閲覧等)、ネットバンキングの追加認証(ワンタイムパスワード・電子証明書・承認者による二重承認)がどう突破されたかは非公表。
脆弱性
判明している脆弱性はありません
攻撃者
特定・主張なし
ATT&CK

影響

業務停止
なし 業務停止の公表はない。被害は資金流出による金銭的損失。
データ
なし上限 —確定 —
その他(ネットバンキングのID・パスワードを記載した社内ファイルへのアクセス痕跡)
フォレンジック調査で、PC内のネットバンキングID・パスワード記載ファイルへのアクセス痕跡を確認。マルウェア検知、大量データの外部転送、機密情報・個人情報の外部流出を示す痕跡は確認されていない(2026-02-09)。
波及先
—
金銭影響
2025-12-25時点で損失見込み最大約2億5千万円(暫定値)。2026-02-09に、2026年3月期第3四半期連結決算で損失額2億50百万円を『その他の費用』に計上(特別損失ではない)。通期業績予想は修正せず、回収状況等で修正が必要になれば開示するとしている。送金回数・送金先・回収額は非公表。
サプライチェーン
子会社単体の被害で、他組織への波及は公表されていない。なお信和は別件として2026年2月2日にサイバー攻撃を受けた可能性のある事象を確認し(2/4公表)、ランサムウェアグループEverestがリークサイトで42GBのデータ取得を主張したと報じられているが、報道は本件(2025年11月のサポート詐欺)とは別インシデントとして扱っており、関連は示されていない。

時系列

  1. 2025-11-29
    子会社の業務用PCにウイルス感染を装う偽の警告画面が表示され、利用者が画面上の連絡先に架電2
  2. 2025-11-29
    サポート窓口を騙る第三者の指示で LogMeIn Rescue、Ultraviewer、Splashtop をインストール・実行。外部から遠隔操作され、ネットバンキングID・パスワード記載ファイルへのアクセス痕跡2
  3. 2025-11-29
    遠隔操作によりネットバンキングから資金が不正送金される(同日以外の不審な通信・送金操作は確認されず)23
  4. 2025-12-03
    信和が『当社子会社における資金流出事案について』を公表(第1報、本調査では原文未確認)23
  5. 2025-12-25
    『(開示事項の経過)当社子会社における資金流出事案による業績予想への影響について』を公表。損失見込みは最大約2億5千万円(暫定値)、業績予想は据え置き。流出資金の保全・回収を最優先と説明1
  6. 2026-02-02
    (別件)信和がサイバー攻撃を受けた可能性のある事象を確認、2/4に公表。Everestがリークサイトで42GBのデータ取得を主張と報道5
  7. 2026-02-09
    外部専門機関と対策チームの調査報告書を受領し、調査結果と再発防止策を公表。外部からの遠隔操作による不正行為と確認、役職員の関与なし。第3四半期に『その他の費用』2億50百万円を計上2
  8. 2026-02-10
    セキュリティ対策Labが2.5億円の損失計上として報道4
  9. 2026-02-24
    ScanNetSecurityが『BECではなくサポート詐欺で2億5,000万円資金流出』と報道3
  10. 2026-04-27
    セキュリティ対策LabのBEC・不正送金被害まとめで、ニセ社長詐欺とは異なるサポート詐欺起点の事例として掲載6
  11. 2026-07-13
    東洋経済オンライン(森井昌克・神戸大学名誉教授)が、建設仮設資材販売会社の子会社の約2億5000万円被害を企業向けサポート詐欺の典型例として紹介7

技術解説

攻撃の構造:マルウェアを使わない『正規ツール+人の操作』 解釈

信和の調査結果によれば、攻撃者は偽の警告画面と電話による誘導だけで、利用者自身に正規の遠隔操作ソフト(LogMeIn Rescue、Ultraviewer、Splashtop)を導入させた。フォレンジックではマルウェアは検知されておらず、いずれもIT保守で一般に使われる署名済みソフトのため、シグネチャ型のウイルス対策では止まらない。遠隔操作で接続した攻撃者は、PC内に保存されていたネットバンキングのID・パスワード記載ファイルにアクセスし、同日中にネットバンキングから送金した。送金の承認フロー(ワンタイムパスワード、電子証明書、別担当者の承認)がどう突破されたかは公表されていないが、利用者がその場で操作を指示されてワンタイムパスワードを入力させられた可能性や、PCに電子証明書が入っていた可能性が考えられる(推測)。

公表された事実と金額の推移 事実

発生は2025年11月29日(土)の1日で、同日以外に不審な通信・送金操作の痕跡はないとされる。信和は12月3日に資金流出を開示し、12月25日に損失見込みを『最大で約2億5千万円(暫定値)』、2026年2月9日に第3四半期の『その他の費用』として2億50百万円の計上を公表した。計上額が暫定見込みと同額であることから、少なくとも2月9日時点で回収は進んでいないと読めるが、回収額・送金回数・送金先口座の国内外は開示されていない。調査結果は外部専門機関のデジタルフォレンジックと社内対策チームの報告書に基づき、役職員の関与(内部不正)は否定された。子会社名は一貫して公表されていない。

なぜ億単位になったか 解釈

個人向けとして知られるサポート詐欺が数億円規模になった要因として、(1) 法人口座を操作できるPCで一般のWeb閲覧が行われていた、(2) そのPCにネットバンキングの認証情報が平文ファイルで保存されていた、(3) 遠隔操作ソフトを利用者権限でインストールできた、(4) 1回あたりの送金限度額や送金先の事前登録制限が大口送金を止めなかった、の重なりが考えられる。(2)は調査結果で確認された事実、(3)は再発防止策に『遠隔操作ソフト等の不正アプリのインストール制限』が挙がっていることから当時は制限が不十分だったと読める。(1)(4)は公表されておらず推測である。発生日が土曜日だったことも、上長や経理責任者への確認が働きにくい条件だった可能性がある。

対応

封じ込め
発覚後に外部専門機関と連携してフォレンジック調査、流出資金の保全・回収を最優先で対応(12/25)。再発防止策(2/9):資金決済の管理プロセス見直しとネットバンキングのセキュリティ設定の再確認・強化、遠隔操作ソフト等の不正アプリのインストール制限と監視強化、不審Webサイトへのアクセス制限強化、全役職員へのサポート詐欺を含むセキュリティ教育、子会社監査項目への再発防止策運用状況の追加。
公表の仕方
2025-12-03 第1報(資金流出)、2025-12-25 業績予想への影響(最大約2億5千万円・暫定)、2026-02-09 調査結果・再発防止策と2億50百万円の費用計上。子会社名・送金回数・回収額・警察対応は非公表。
当局対応
—

教訓と対策

教訓具体的な対策
利用者権限で遠隔操作ソフトをインストール・実行できたWDAC/AppLocker や MDM でアプリケーション許可リストを適用し、LogMeIn Rescue、Ultraviewer、Splashtop、AnyDesk、TeamViewer、Quick Assist 等の未承認RMMツールの実行をブロック。EDRで新規RMMツールの実行・外部接続をアラート化する
ネットバンキングのID・パスワードをPC内のファイルに保存していた認証情報はパスワードマネージャー(共有ボールト・アクセスログ付き)に移し、ファイルサーバー・端末内の『パスワード』『ID』を含むファイルを定期スキャンして削除。電子証明書は端末ではなくICカード/トークンに格納する
1台の端末と1人の操作で大口送金が完結した法人ネットバンキングで作成者と承認者を別人・別端末に分ける二重承認を必須化し、新規送金先の登録に待機期間を設定、1回・1日あたりの送金限度額を業務実績に合わせて下げる。休日の送金は原則不可とする
送金用端末で一般のWeb閲覧ができたネットバンキング専用端末(または専用VDI)を用意し、銀行ドメイン以外への通信をプロキシで遮断。一般業務PCではブラウザの通知・全画面ポップアップを抑止するポリシーを配布する
偽警告画面への架電という手口が社員に知られていなかった『画面に表示された電話番号には絶対にかけない』『PCが警告を出したら電源ではなくLANを抜き情報システム担当へ』を1枚の手順にして全端末近くに掲示し、偽警告画面の体験訓練(IPAの体験サイト等)を年1回実施する

自組織などでの確認項目

  1. 自社で、経理担当者のPCに未承認の遠隔操作ソフトを入れようとしたら何が止めるか。止まらないなら誰がいつ気づくか。
  2. ネットバンキングで1人の担当者が単独で送金できる上限額はいくらか。その額は事業上本当に必要か。
  3. 社員が『サポート』を名乗る相手の指示でPCを操作してしまった場合、すぐに相談できる連絡先と手順は周知されているか。休日はどうか。
  4. 法人口座の認証情報や電子証明書は、どの端末に、どの形式で置かれているか。

未解明点

  • 子会社名、送金回数・送金先(国内外)・回収額
  • ネットバンキングの追加認証(ワンタイムパスワード・電子証明書・承認フロー)がどのように突破されたか
  • 偽警告画面が表示された経緯(広告・閲覧サイト等)
  • 警察への届出・捜査状況
  • 2026年2月の別件サイバー攻撃(Everestの主張)との関係の有無

出典

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
    セキュリティ対策Lab(Rocket Boys)2026-02-10報道本文確認済
  5. 5
  6. 6
    セキュリティ対策Lab(Rocket Boys)2026-04-27報道本文確認済
  7. 7