都立高等学校の情報共有ツールでの個人情報の閲覧可能状態(入試受検者291名・入学生321名分)
公表日
東京都立高等学校の情報共有ツール上で、入試受検者291名と令和6年度入学生321名の個人情報が、校内の全教員・生徒に閲覧できる状態になっていました。外部への漏えいは確認されていません。
対象者は?
当該校の令和7年度入学者選抜受検者291名(氏名、性別、生年月日、出身中学校、受検成績など)と、令和6年度入学生321名(氏名、性別、生年月日、住所、保護者氏名、電話番号など)。「など」とあり、全項目は公表されていません。別件では、別の都立高等学校の生徒117人分(クラスと番号を表す4桁の数字及び提出物の提出状況等)が対象です。
生徒・保護者には学校が説明会や保護者会を開き、不合格者には学校から直接連絡したと公表されています。個別に対象かどうかを確認する方法は、渡された資料には書かれていません。
いますぐできること
- 当該校から案内や連絡を受けた方は、その内容を確認する。
- 身に覚えのない連絡があったときは、すぐに応じず、学校に確認する。
- 学校からの説明で分からないことがあれば、学校に問い合わせる。
何が起きたのか
令和7年10月10日午後8時45分ごろ、都立高等学校の生徒が、情報共有ツール上で1学年生徒全員の個人情報が見られる状態になっていることに気づき、教諭に伝えました。7分後の午後8時52分に主幹教諭が状態を確認し、データを全て削除しました。見られる状態になっていたのは、入試の受検者291名と令和6年度入学生321名の情報です。学校は10月29日に生徒へ、11月1日に保護者へ説明し、謝罪しました。東京都教育委員会は11月19日に公表しました。別の都立高等学校でも、支援員が生徒の提出物に関するデータを誤って共有した事案が12月22日に公表されました(117人分)。
なぜ起きたのか・なぜ広がったのか
公表された原因は二つです。教員が、個人情報の取扱いが禁止されている教員・生徒共有のアカウントでデータを取り扱ったこと。また、パスワードを付けず、教員なら誰でも見られる場所に保存するなど、組織としての情報管理が十分でなかったことです。別件は、支援員が誤ってデータを共有したと聞き取られています。外部からの攻撃は公表されていません。
いまの状況2025-12-22 時点続報待ち
2025年12月22日時点で、閲覧された記録があるのは、報告した生徒のほか1名のみと確認されています(入手できたログによる)。外部への漏えいは確認されておらず、別件でも二次被害は報告されていません。学校は共有アカウントや個人情報の取扱いルールを見直して周知・徹底するとしています。別件の学校は研修を行い、都教育委員会は全都立高等学校長に再度周知・徹底を図るとしています。補償については、まだ発表されていません。
企業として考えたいこと
自社の共有フォルダやクラウドで、個人情報を含むファイルが「全員が見られる状態」になっていないかを、誰がいつ確認していますか。
技術的な要約
都立高等学校の教員・生徒が使う情報共有ツール上に、令和7年度入試選抜の受検者の合格者・不合格者と現2年生の個人情報が掲載され、一定期間、当該校の全教員・生徒が閲覧できる状態となっていた。令和7年10月10日午後8時45分頃、生徒が発見して教諭に報告し発覚し、午後8時52分に主幹教諭が当該データを全て削除した。対象は令和7年度入学者選抜受検者291名と令和6年度入学生321名で、入手できたログでは閲覧した生徒は報告した生徒のほか1名のみで、外部への漏えいは確認されていない。原因は、個人情報の取扱いが禁止された共有アカウントでの取扱いと、パスワードなしで教員なら誰でも閲覧できる場所への保存など組織としての情報管理の不十分さとされた。別件として、支援員が提出物に関するデータを誤って情報共有ツールで共有し117人分が漏洩した事案も、12月22日に公表されている。
公開情報が限られている点について
攻撃の分類
- 侵入口
- 不明外部からの侵入ではなく、情報共有ツール上の掲載・共有範囲に起因する事案として公表されている。公表では、教員が個人情報の取扱いが禁止された教員・生徒共有のアカウントでデータを取り扱ったこと、パスワードを付さず教員なら誰でも閲覧できる場所に保存したことが原因とされた。別件では支援員が誤ってデータを共有したと聞き取られた。
- 脆弱性
- 判明している脆弱性はありません
- 攻撃者
- 特定・主張なし
- ATT&CK
- —
影響
- 業務停止
- なし 公表資料に業務停止の記載はない。
- データ
- おそれ上限 612確定 —人氏名性別生年月日住所電話その他令和7年度入学者選抜受検者291名(氏名、性別、生年月日、出身中学校、受検成績など)と令和6年度入学生321名(氏名、性別、生年月日、住所、保護者氏名、電話番号など)の合算で、291+321=612。校内の教員・生徒のみ閲覧可能で、入手できたログから閲覧した生徒は報告した生徒のほか1名のみ。外部への漏えいは確認されていない。別件(支援員の誤共有)は、クラスと番号を表す4桁の数字及び提出物の提出状況等117人分で、外部流出等の二次被害は報告されていない。
- 波及先
- —
- 金銭影響
- —
- サプライチェーン
- —
時系列
- 2025-10-10 20:45
- 2025-10-10 20:52
- 2025-10-29
- 2025-11-01
- 2025-11-19
- 2025-11-21別件として、別の都立高等学校の教諭が、生徒から情報共有ツールに提出物に関するデータが共有されている旨の報告を受け、学校は当該データを削除した。2
- 2025-11-27別件として、学校が支援員から、誤って当該データを共有した旨を聞き取った。2
- 2025-12-17別件として、学年集会を開催し、生徒に経緯の説明と謝罪を行った。2
- 2025-12-19別件として、夕方に臨時保護者会を開催し、経緯の説明と謝罪を行った。2
- 2025-12-22東京都教育委員会が別件について「都立高等学校における個人情報の漏洩について」を公表した(117人分、外部流出等の二次被害は報告されていない)。2
技術解説
何が起き、どう発覚したか 事実
都立高等学校の教員・生徒が使う情報共有ツール上に、当該校の令和7年度入試選抜の受検者(合格者・不合格者)と現2年生の個人情報が掲載され、一定の期間、当該校の全教員・生徒が閲覧できる状態となっていた。対象は、令和7年度入学者選抜受検者291名(氏名、性別、生年月日、出身中学校、受検成績など)と、令和6年度入学生321名(氏名、性別、生年月日、住所、保護者氏名、電話番号など)の電子データである。令和7年10月10日午後8時45分、当該校の生徒が1学年生徒全員の個人情報が閲覧できる状態にあることを発見し、教諭に報告して発覚した。午後8時52分、主幹教諭が全教員・生徒が閲覧できる状態を確認したうえで、当該データを全て削除した。
公表された原因と閲覧の状況 事実
公表された原因は二つある。一つは、教員が、教員及び生徒共有のアカウントで個人情報の取扱いが禁止されているにも関わらず、当該データを取り扱ったことである。もう一つは、教員が個人情報等についてパスワードを付さず、教員であれば誰でも閲覧できる場所に保存する等、組織としての情報管理が不十分であったことである。データは当該校内の教員・生徒のみが閲覧可能で、入手できたログからは、閲覧した生徒は報告した生徒のほか1名のみと分かっている。外部への情報漏えいは確認されていない。外部からの攻撃や侵入に関する記載は、公表資料の範囲には見当たらない。
対応と、別件の公表 事実
学校は10月29日に全校集会を開いて生徒に説明と謝罪を行い、11月1日に臨時保護者会を開いて保護者に説明し謝罪した。不合格者には学校から直接連絡し、経緯の説明と謝罪を実施している。再発防止として、共有アカウントや個人情報等の適切な取扱いのルールを見直し、周知・徹底を図るとされた。別件として、支援員が生徒の提出物等に関する情報のデータを、26人の生徒が所属する同校の情報共有ツールで共有した事案が12月22日に公表されている。11月21日に生徒から報告を受けた学校がデータを削除し、11月27日に支援員から誤って共有した旨を聞き取った。漏洩したのはクラスと番号を表す4桁の数字及び提出物の提出状況等で、117人分である。外部流出等の二次被害は報告されていない。
共有範囲の管理という観点からの整理 解釈
公表された原因は、個人情報を扱ってはならないアカウントで扱われたことと、保存場所の閲覧範囲が広かったことの二点である。これは、利用者の注意だけに頼ると誰にでも起こりうる運用上の課題だと解釈できる。ツールの設計や設定の面から防ぐ余地もあると考えられる。今回は生徒の発見から報告、削除までが短時間で進んだことが、閲覧の広がりを抑えた可能性がある。一方で、閲覧状況の確認は「入手できたログ」の範囲にとどまる。別件も共有ツール上の意図しない共有であり、校種や場面が違っても同様の構造が現れうると読める。ただし、2件の関連や共通の設定の有無は公表されておらず、この整理は公表内容からの推測である。
対応
- 封じ込め
- 令和7年10月10日午後8時52分に主幹教諭が当該データを全て削除した。再発防止として、教員及び生徒共有のアカウントや個人情報等の適切な取扱いのルールを見直し、周知・徹底を図る。不合格者には学校から直接連絡し、経緯の説明と謝罪を実施した。別件では、学校が当該データを削除し、当該校で個人情報管理の研修と再発防止策の周知を行い、都教育委員会が全都立高等学校長に個人情報の取扱い等を再度周知・徹底するとした。
- 公表の仕方
- 令和7年11月19日に東京都教育委員会が第1の事案を公表した。生徒向けには10月29日の全校集会、保護者向けには11月1日の臨時保護者会で説明と謝罪を行った。別件は12月22日に公表された。
- 当局対応
- —
教訓と対策
| 教訓 | 具体的な対策 |
|---|---|
| 個人情報を扱えない共有アカウントでは、ルールだけでなく仕組みでも扱えないようにする | 生徒・教員共用テナントでは個人情報用の保存領域を作成できない権限設計にする。DLPや機微ラベルで氏名・生年月日・住所などを含むファイルのアップロードを検知・ブロックし、管理者へ通知する。 |
| 保存先の既定の共有範囲を最小にする | 新規ファイル・フォルダの既定を作成者のみに設定し、組織全体共有や全員閲覧のリンク共有を管理者設定で制限する。個人情報用フォルダにはグループ単位のアクセス制御とパスワード等の追加認証を必須にする。 |
| 共有状態を定期的に棚卸しする | 共有レポートやAPIで「全員閲覧可」「校内全体に共有」のファイルを月次で抽出し、所有者へ是正を依頼する。個人情報を含む可能性のある名簿・成績ファイルは優先して確認する。 |
| 閲覧ログを十分な期間保存し、影響範囲を確定できるようにする | 監査ログの保存期間を延ばし、ファイル単位の閲覧・ダウンロード履歴を取得できる設定にする。インシデント時はログのエクスポート手順を事前に決め、削除前に共有設定とログを保全する。 |
| 利用者からの発見報告を迅速な初動につなげる | 生徒・教職員が気づいた時点で報告できる窓口と、削除・共有停止の権限者を明確にする。本件は発見から約7分で削除されており、報告経路と対応手順を手順書にして訓練で確認する。 |
自組織などでの確認項目
- 自組織の共有ツールで、組織全体やリンクを知る全員が閲覧できる状態のファイルは何件あるか。個人情報を含むものはあるか。
- 共用アカウントや部署共有の領域で、個人情報を扱ってよいか禁止かがルールと設定の両方で明確になっているか。
- 個人情報が見える状態になっていると気づいた人が、誰にどう報告し、誰が削除や共有停止を判断できるか。手順は周知されているか。
- 閲覧ログは、誰が何をいつ見たかを確認できる粒度と期間で保存されているか。外部委託・支援員など立場の違う利用者の操作も追えるか。
未解明点
- 個人情報が閲覧できる状態にあった期間(開始時点と継続した長さ)は、公表資料では具体的に示されていない。
- 利用していた情報共有ツールの製品名や、共有範囲に関する具体的な設定内容は公表されていない。
- 「入手できたログ」がどの期間・どの操作まで含むのか、ログが得られなかった部分があるのかは示されていない。
- 他の都立高等学校での点検結果や、ツール側の設定・技術的対策を行うかどうかは、渡された資料には書かれていない。
出典
- 1東京都教育委員会(教育庁)2025-11-19公式本文確認済
- 2東京都教育委員会(教育庁)2025-12-22公式本文確認済
- 3東京都教育庁2025-11-19公式本文確認済