日本大学の学生・卒業生メールアカウントへの不正アクセス(9アカウントから不審メール1万7,864件を送信)
公表日
日本大学の在学生・卒業生9人のメールアカウントが第三者に不正利用され、2026年7月3日時点で確認された不審メールは1万7,864件でした。
対象者は?
在学生と卒業生の計9名のメールアカウントが対象です。アカウント内の個人情報が見られた可能性は完全には否定できないとされています。ただし、どんな種類の個人情報が含まれていたかは公表されていません。
対象の9名への個別の連絡方法や、確認窓口は、確認できた範囲では示されていません。心当たりのない不審なメールが届いた場合は、下の報道記事で注意点を確認できます。
いますぐできること
- 差出人が日本大学の関係者の名前でも、心当たりのないメールの本文のURLはクリックせず、添付ファイルも開かずに、すぐ削除する。
- 大学のメールなどで多要素認証が使えるなら設定する。
- 他のサービスと同じパスワードを使っていないか確認し、使い回していれば変更する。
何が起きたのか
日本大学によると、2026年6月24日以降、第三者が在学生と卒業生あわせて9人のメールアカウントに入り込み、迷惑メールを送るために使いました。大学は6月26日にこれに気づき、対象のアカウントを一時停止または無効にして止めました。7月3日までに確認された不審メールは1万7,864件で、大学は7月6日に公表しました。
なぜ起きたのか・なぜ広がったのか
原因は、何らかの方法でIDとパスワードが盗まれ、アカウントが乗っ取られたこととみられています。具体的な盗まれ方は発表されていません。
いまの状況2026-10-14 時点続報待ち
2026年10月14日時点で、大学は多要素認証の導入推進、アカウント管理の見直し、情報セキュリティ教育のやり直しを行う方針です。過去のメールが見られた明確な痕跡は確認されておらず、本件による情報の不正利用や金銭的被害の報告もありません。大学関係者を装ったなりすましメール実在の会社や取引先、知人を名乗って送られる偽のメールです。本物のアカウントが乗っ取られ、そこから送られてくる場合もあり、送信者名だけでは見分けがつきません。が届くおそれがあるとして、注意が呼びかけられています。当局への届出や、侵入の詳しい手口は、まだ発表されていません。
企業として考えたいこと
自社のメールやクラウドのアカウントが乗っ取られて、社外に大量の迷惑メールが送られ始めたとき、どれくらい早く気づいて止められるでしょうか。
技術的な要約
日本大学は2026年7月6日、在学生および卒業生計9名のメールアカウントが第三者に不正利用され、多数の不審メールが学内外に送信されたと公表した。事案は2026年6月24日以降に発生し、6月26日に検知された。第三者は当該アカウントをスパムメール送信の踏み台として利用し、7月3日時点で確認された不審メールの送信件数は1万7,864件である。原因は、何らかの手段でID・パスワードが窃取され、アカウントが乗っ取られたこととみられる。過去の送受信メールが閲覧された明確な痕跡は確認されていないが、アカウント内の個人情報が閲覧された可能性は完全には否定できないとしている。検知後は対象アカウントの一時停止または無効化で遮断し、再発防止策として多要素認証の導入推進などを行う方針である。同大学では、2026年3月(三軒茶屋キャンパス)と8月(理工学部の教員アカウント)にも同種のメール踏み台利用が報じられている。
公開情報が限られている点について
攻撃の分類
- 侵入口
- 認証情報窃取・流用報道・研究者原因は「何らかの手段でID・パスワードが窃取され、アカウントが乗っ取られたこととみられる」とされる。具体的な窃取手段は公表されていない。なお、同大学の別事案(2026年3月の三軒茶屋キャンパス、8月の理工学部)ではフィッシングメールが原因と報じられている。
- 脆弱性
- 判明している脆弱性はありません
- 攻撃者
- 特定・主張なし
- ATT&CK
影響
- 業務停止
- なし 対象アカウントを一時停止または無効化して遮断した。中核業務の停止に関する記載はない。
- データ
- おそれ上限 9確定 —アカウント不正アクセスを受けたのは在学生・卒業生計9アカウント。踏み台として送信された不審メールは7月3日時点で1万7,864件(アカウント数とは別の数値)。過去の送受信メールが閲覧された明確な痕跡やダウンロード等の挙動は確認されていないが、アカウント内に保存されていた個人情報が閲覧された可能性は完全には否定できない。個人情報の具体的な種類は公表されていない。
- 波及先
- —
- 本学関係者を装ったなりすましメールが届く二次被害のおそれがあるとして注意喚起
- 現時点で本件に起因する情報の不正利用の報告は確認されていない
- 金銭影響
- 金銭的被害の報告は現時点で確認されていない。
- サプライチェーン
- 委託先等を経由した事案とは公表されていない。
時系列
- 2026-03-06【関連事案】日本大学三軒茶屋キャンパスが、教職員1名のメールアカウント乗っ取りによる迷惑メール発信(不審メール321件)を発表。実在するクラウドサービスを装ったフィッシングメールが原因という。2
- 2026-06-24
- 2026-06-26
- 2026-06-26検知後、対象アカウントの一時停止または無効化により不正アクセスを遮断した(時期は検知後。日付の明示なし)。1
- 2026-07-03この時点で確認された不審メールの送信件数は1万7,864件。1
- 2026-07-06
- 2026-08-07
- 2026-08-29【関連事案】日本大学が、計5名の教員アカウントへの不正アクセスと踏み台利用を確認した。5
- 2026-09-08【関連事案】日本大学理工学部が不正アクセスによる迷惑メール発信について発表した。4
- 2026-09-14【関連事案】日本大学が、計5名の教員アカウントから学内外に1,333件の不審メールが送信されたことを発表した。5
技術解説
事案の経過と対応 事実
日本大学は2026年7月6日、在学生および卒業生計9名のメールアカウントが第三者に不正利用され、多数の不審メールが学内外に送信されたと公表した。事案は6月24日以降に発生し、6月26日に検知されている。第三者は当該アカウントをスパムメール送信の踏み台として利用していた。検知後は対象アカウントの一時停止または無効化により不正アクセスを遮断した。原因は、何らかの手段でID・パスワードが窃取され、アカウントが乗っ取られたこととみられるとされる。具体的な窃取手段は、参照できる範囲では示されていない。
数値の読み方と情報閲覧の可能性 事実
不正アクセスを受けたのは在学生・卒業生計9アカウントで、2026年7月3日時点で確認された不審メールの送信件数は1万7,864件である。前者はアカウント数、後者は送信されたメールの数であり、別の数値として扱う必要がある。ログ解析と状況調査では、過去の送受信メールが閲覧された明確な痕跡やダウンロード等の挙動は確認されていない。一方、システム上の確認限界を踏まえ、アカウント内に保存されていた個人情報が閲覧された可能性は完全には否定できないとされる。現時点で、本件に起因する情報の不正利用や金銭的被害の報告は確認されていない。
報じられている同大学の関連事案 事実
報道では、本件とは別に同大学の事案が伝えられている。3月6日に三軒茶屋キャンパスが発表した事案では、教職員1名のメールアカウントがフィッシング攻撃で不正利用され、連絡先の学内外アドレスに不審メール321件が送信された。当該教職員は、実在するクラウドサービスを装ったフィッシングメールのリンクをクリックしたとされる。理工学部は9月8日に発表し、8月7日午後11時40分頃に教職員1名のアカウントが不正利用されたと報じられた。別の報道では、8月7日に計5名の教員アカウントが踏み台となり、8月29日に確認、9月14日に1,333件の送信が発表されたとある。人数の記述は報道ごとに異なる。
踏み台型の不正利用という構造 解釈
本件は、ID・パスワードが何らかの形で窃取され、正規のメールアカウントがスパム送信に使われたものと読める。メールの送信元が実在の大学アカウントになるため、受信側のフィルタを通りやすく、受信者も警戒しにくい点が、この型の特徴と考えられる。9アカウントから1万7,864件という規模は、1アカウントあたり多数の送信があったことを示唆するが、送信期間の内訳は公表されていないため断定はできない。在学生・卒業生のアカウントは利用頻度や管理の度合いに幅があると推測され、認証強化の対象範囲が課題になりうる。ただしこれは一般的な見立てであり、本件での実態は確認できない。
公表内容の評価と留意点 解釈
検知から公表まで約10日で、件数・日付・遮断策・注意喚起・再発防止の方針が示されている点は、利用者が行動を判断するうえで有用と考えられる。個人情報の閲覧可能性を、確認限界を踏まえて否定しきれないと明示している点も、事実に沿った書き方といえる。一方、今回参照した出典は報道が中心で、大学自身の発表文を直接確認できていない。個人情報の種類、窃取手段、当局への届出などは把握できる範囲では示されておらず、評価は限定的である。同大学では複数の類似事案が報じられているが、相互の関係は公表されていないため、同一の原因とは言えない。
対応
- 封じ込め
- 検知後、対象アカウントの一時停止または無効化により不正アクセスを遮断した。ログ解析と状況調査を実施した。
- 公表の仕方
- 2026年7月6日に公表。本学関係者を装った不審メールのURLクリックや添付ファイルの開封をせず、速やかに削除するよう呼びかけた。再発防止策として、多要素認証の導入推進、アカウント管理の適正化、情報セキュリティ教育の再徹底を行う方針。
- 当局対応
- —
教訓と対策
| 教訓 | 具体的な対策 |
|---|---|
| 学生・卒業生を含む全アカウントで多要素認証を使えるようにすることが、認証情報の窃取に対する基本的な備えになる。 | IdPまたはメール基盤の条件付きアクセスで全ユーザーにMFAを必須化する。POP/IMAP/SMTP AUTHなどのレガシー認証はプロトコル単位で無効化し、例外は申請制にする。可能なら教職員と管理者からFIDO2などフィッシング耐性のある方式に移行する。 |
| 踏み台利用は送信量の異常として早期に検知でき、自動で止められる仕組みがあると被害を小さくできる。 | アカウント単位の時間あたり送信数・宛先数の上限を設定する。閾値超過時はSIEMやメール基盤のルールでアラートを出し、一時停止まで自動化する。外部宛ての大量送信とバウンス率の急増も監視項目に加える。 |
| 卒業生など利用実態が見えにくいアカウントは、棚卸しと有効期限の管理を行わないと乗っ取りに気づきにくい。 | アカウント台帳に最終ログイン日時と所属区分を持たせ、一定期間未使用のアカウントは無効化または再認証を求める。卒業生向けは付与期間の方針を明文化し、パスワード再設定の強制とMFA登録を同時に行う。 |
| 閲覧の有無を判断できる監査ログがないと、個人情報が閲覧された可能性を否定できず、利用者への説明が広くなる。 | メールボックス監査ログ(ログイン元IP、メール参照・転送ルール作成・エクスポート操作)を有効化し、1年以上保管する。ログイン元の地理的異常や新規転送ルールの作成を検知ルール化し、調査時に閲覧範囲を絞り込めるようにする。 |
| 類似のなりすましメールが二次被害につながるおそれがあるため、利用者への周知と報告経路を整えておく必要がある。 | 不審メールの報告ボタンまたは専用窓口を用意し、報告から調査開始までの手順を定める。SPF・DKIM・DMARCを適切に設定して自ドメインのなりすましを抑え、定期的にフィッシング対応訓練を実施する。 |
自組織などでの確認項目
- 自組織のメールやクラウドのアカウントのうち、多要素認証が必須になっていないものはどれか。学生、卒業生、退職者、委託先など、区分ごとに一覧で確認できるか。
- 1つのアカウントから短時間に大量のメールが外部へ送られた場合、何分以内に誰が気づき、誰が止められるか。送信数の上限と通知先は設定されているか。
- アカウントが乗っ取られたとき、メールが閲覧されたかどうかをログで判断できるか。監査ログの種類、保管期間、調査担当者の権限は十分か。
- 最後にログインした日が古いアカウントや、利用実態が不明なアカウントが残っていないか。無効化や再認証の基準は決まっているか。
未解明点
- ID・パスワードがどのような手段で窃取されたのか。フィッシング、使い回しなどの具体的な経路は公表されていない。
- アカウント内に保存されていた個人情報の具体的な種類と、影響を受けた可能性のある人の範囲は示されていない。
- 対象の9名への個別連絡の有無や、個人情報保護委員会などの当局への届出状況は、参照できる範囲では確認できない。
- 3月(三軒茶屋キャンパス)や8月(理工学部)の事案と、本件に共通の原因や攻撃者がいるのかは公表されていない。
- 不審メール1万7,864件の送信期間やアカウントごとの内訳、7月3日以降の件数の変化は示されていない。
出典
- 1セキュリティ対策Lab(合同会社ロケットボーイズ)2026-07-14報道本文確認済
- 2ScanNetSecurity2026-03-19報道本文確認済
- 3ScanNetSecurity2026-07-23報道本文確認済
- 4ScanNetSecurity2026-09-15報道本文確認済
- 5ScanNetSecurity2026-10-05報道本文確認済