Integral Security Reportインテグラル セキュリティ レポート
← 一覧に戻る
2026-r8e66697b教育最終確認 2026-10-13 20:05

学校図書館図書整備協会(SLBA)へのランサムウェア攻撃(ホームページ利用サービスの全面停止、復旧まで約1か月の見込み)

公表日

一般社団法人学校図書館図書整備協会(SLBA)
調査中ランサムウェア不正アクセスサプライチェーン:起点

学校図書館向けに書籍を扱う学校図書館図書整備協会(SLBA)のホームページが、2026年1月7日からランサムウェア会社のパソコンやサーバーのデータを勝手に暗号化(鍵をかけて読めない状態に)し、「元に戻してほしければお金を払え」と要求するマルウェアです。データが使えなくなるため、受注・出荷・診療などの業務そのものが何日も止まることがあります。を含むサイバー攻撃を受けた可能性が高い状態で止まりました。書籍の検索・発注・問い合わせなど、ホームページを使う全サービスが利用できなくなりました。

対象者は?

SLBAのホームページで書籍の検索、選書リストの作成、発注、納期確認や送付先変更の問い合わせを利用していた書店・学校・取引先です。個人情報等の漏洩は第1報の時点では確認されておらず、調査が続いています。漏洩した情報の種類や件数は公表されていません。SLBAから取引先へ送られるメールは別のネットワークで運用されており、感染や不正アクセス使う権限のない人が、他人のIDやパスワード、システムの弱点を使って、サービスやサーバーに入り込むことです。日本では「不正アクセス禁止法」で禁止されている犯罪です。は確認されていないとしています。

SLBAの第1報(お知らせとお詫び)と、noteの案内を確認してください。発注は、注文書(PDFまたはExcel)をinfo@slba.or.jpへメールで送る方法で受け付けています。

いますぐできること

  • SLBAへ書籍を発注するときは、注文書をPDFまたはExcel形式にしてinfo@slba.or.jpへメールで送ってください(FAXも可能ですが、遅れたり届かなかったりすることがあります)。
  • SLBAを名乗るメールで、心当たりのない添付ファイルやリンク、支払先の変更などが書かれていたら開かず、電話など別の方法でSLBAに確認してください。

何が起きたのか

2026年1月7日の午前1時半頃から、SLBAのホームページにつながらなくなりました。SLBAがシステムの運用・保守を任せている会社に調べてもらったところ、外部の何者かがランサムウェア会社のパソコンやサーバーのデータを勝手に暗号化(鍵をかけて読めない状態に)し、「元に戻してほしければお金を払え」と要求するマルウェアです。データが使えなくなるため、受注・出荷・診療などの業務そのものが何日も止まることがあります。(データを使えなくして身代金を求める不正なプログラム)を含むサイバー攻撃をした可能性が高いと分かりました。SLBAはすぐに関係するサーバーを止め、攻撃を受けた機器をネットワークから切り離しました。警察にも相談しています。1月19日にお知らせを出し、ホームページが使えないため、noteでも案内を続けています(1月21日に追記)。

なぜ起きたのか・なぜ広がったのか

どのような経路で攻撃者が入り込んだのかは公表されていません。書籍の検索から発注、問い合わせまでをホームページで行う仕組みだったため、サーバーを止めると、これらのサービスがすべて使えなくなりました。

いまの状況2026-02-06 時点続報待ち

第1報では、復旧までに概ね1か月前後かかる見込みとされていました。その後の復旧状況や、情報漏洩の調査結果はまだ発表されていません。それまでの間、発注はメールまたはFAXで受け付けています。SLBAは外部の専門機関と調査を続け、監視を強めているとしています。

企業として考えたいこと

自社の受注や問い合わせの窓口が1か月止まった場合、取引先に今日から使ってもらえる代わりの手段と、それを知らせる場所を、すぐに示せるでしょうか。

技術的な要約

SLBAのホームページに2026年1月7日午前1時半頃からアクセスできない障害が発生した。運用・保守委託先の分析・調査の結果、外部の第三者が不正な手法でランサムウェアを含むサイバー攻撃を行った可能性が高いと判明し、関連サーバー等をシャットダウンした。書籍検索、選書リスト作成、ホームページ上の発注、問い合わせフォームなど、ホームページを活用した全サービスが利用できなくなった。SLBAは1月19日に第1報を公表し、復旧は概ね1か月前後かかる見込みとした。個人情報等の漏洩は第1報時点で確認されておらず、情報漏洩の有無は調査中である。発注はPDFまたはExcelの注文書のメール送付(FAXも可)で代替受付している。

公開情報が限られている点について
公式の発表は第1報のみで、続報・最終報や侵入経路、漏洩の有無の確定結果は渡された出典にない。出典は6件で8件に届かない。出典一覧の0番(英国図書館)は別事案の記事のため、本事案の記述には使っていない。
侵入
—
被害発生
2026-01-07 01:30
検知
—
第1報公表
2026-01-19
最新続報
2026-02-06
侵入 → 検知
—
侵入日が非公表
検知 → 公表
—
データ(上限)
—
確定 —
波及先
—

攻撃の分類

侵入口
不明
公式の第1報は「外部から第三者が不正な手法を用いてランサムウェアを含むサイバー攻撃を行った可能性が高い」とするのみで、侵入経路は公表されていない。
脆弱性
CVE 非公表不明
脆弱性の有無・製品名は公表されていない。
攻撃者
特定・主張なし
ATT&CK

影響

業務停止
あり 書籍の検索・選書リスト作成、ホームページ上の発注、納期確認・送付先変更の問い合わせフォーム等、ホームページを活用した全サービスが利用できない状態。発注は注文書のメール送付(FAXも可)で代替。
期間:2026-01-07から継続。復旧は概ね1か月前後の見込み(調査結果次第)。
データ
調査中上限 —確定 —
第1報時点で個人情報等の漏洩は確認されておらず、情報漏洩は引き続き調査中。流出情報を悪用したなりすましメール・フィッシングメールの可能性について注意喚起している。
波及先
—
  • 書店・学校・取引先からの発注・問い合わせ手段が代替手段(メール・FAX)に変更された
金銭影響
—
サプライチェーン
ホームページ経由の発注・問い合わせを利用する書店・学校・取引先に影響が及んだ。SLBAから取引先へ送るメールは被害サーバーとは別の独立ネットワークで、ランサムウェア感染や不正アクセスは確認されていない。他組織への侵害の波及は公表されていない。

時系列

  1. 2026-01-07 01:30
    SLBAホームページにアクセスできない障害が発生。63
  2. 2026-01
    運用・保守委託先に分析・調査を依頼し、ランサムウェアを含むサイバー攻撃の可能性が高いと判明。62
  3. 2026-01
    関連サーバー等をシャットダウンし、攻撃を受けた機器・可能性のある機器の利用停止、システムからの切り離し、当該ネットワークの遮断を実施。62
  4. 2026-01
    警察へ被害申告・相談を行い、被害届の提出準備と関係機関への情報提供等の手続きに入った。62
  5. 2026-01-19
    「ランサムウェア攻撃に関するお知らせとお詫び(第1報)」を公表。復旧は概ね1か月前後の見込みとした。634
  6. 2026-01-19
    ホームページにアクセスできないため、noteで案内を開始。注文書のメール送付・FAX受付による代替運用を案内。346
  7. 2026-01-21
    noteの「弊社ホームページへの接続障害に関するお詫び」が追記された。34
  8. 2026-01-22
    報道で、SLBAが経緯と現時点の対応状況を公表したと伝えられた。2
  9. 2026-02-06
    ScanNetSecurityがSLBAのシステム障害とランサムウェアの可能性について報道。34

技術解説

発生から第1報までの経緯 事実

一般社団法人学校図書館図書整備協会(SLBA)のホームページは、2026年1月7日(水)午前1時半頃からアクセスできなくなった。SLBAはこの事象を受けて、システムの運用・保守を委託している会社に分析・調査を依頼した。その結果、外部の第三者が不正な手法でランサムウェアを含むサイバー攻撃を行った可能性が高いことが分かった。SLBAは被害拡大の防止を最優先とし、関連するサーバー等を直ちにシャットダウンする緊急措置を講じた。攻撃を受けた機器と、その可能性がある機器は利用を止め、システムから切り離し、当該ネットワークも遮断済みとしている。警察には被害申告・相談を行い、被害届の提出準備や関係機関への情報提供等の手続きに入った。第1報「ランサムウェア攻撃に関するお知らせとお詫び」は1月19日付で公表された。ホームページにアクセスできないため、案内はnoteでも行われ、note記事は1月21日に追記された。

業務への影響と代替運用 事実

第1報によると、ホームページを使う全サービスが利用できない状態になった。具体的には、書籍の検索、選書リストの作成、ホームページ上での書籍発注、納期確認や送付先変更の問い合わせフォーム等である。復旧までの間、書籍の発注や問い合わせは代替手段で受け付けている。注文書はPDFまたはExcel形式でinfo@slba.or.jpへメールで送る運用とした。FAX(03-5577-6413)でも受け付けるが、受信に時間がかかる場合や送信エラーの可能性があるため、メールでの送付に協力を求めている。復旧時期は被害状況の調査結果次第とし、サーバーの状態確認と再構築の要否判断が必要として、第1報の時点では概ね1か月前後かかる見込みとしていた。渡された資料には、この見込みどおりに復旧したかどうかを示す公式発表は含まれていない。

情報漏洩の調査状況とメール系統の切り分け 事実

第1報時点で、個人情報等の漏洩は確認されていない。SLBAは、外部専門機関などの協力を得て情報流出の有無を含む詳細調査を続けている。あわせて、新たな情報流出を防ぐため監視体制を強化している。流出した情報を悪用した「なりすましメール」や「フィッシングメール」が送られる可能性があるとして、注意も呼びかけた。SLBAが書店・学校・取引先へ送る連絡メールは、被害を受けたサーバーとは別の独立したネットワークを使っている。このメール系統には、ホームページサーバーの運用会社とは別の事業者がセキュリティ対策を施している。メール系統について、現時点でランサムウェア感染等の被害や不正アクセスの事実は確認されていないとしている。侵入経路、脆弱性、攻撃者名、身代金要求の有無は公表されていない。漏洩の対象件数も公表されていない。

公表の内容とタイミングの評価 解釈

障害の発生(1月7日)から第1報(1月19日)までは約12日あった。この間に、委託先による調査、サーバー停止、警察への相談を進めていたとみられる。第1報には、影響を受けたサービス、代替の発注手段、復旧見込み、メール系統が別であることがまとめて示されていた。取引先が「SLBAからのメールを信用してよいか」「発注をどう続けるか」を判断する材料としては、実務的な内容だったと考えられる。また、自社サイトが使えない状況で、外部サービスのnoteを告知の場として使い、追記によって情報を更新した。これは代替の広報手段として機能したと評価できる。一方、渡された資料の範囲では、第1報のあとの続報や、復旧完了・調査結果の公式発表は確認できない。侵入経路や漏洩の有無が確定したかどうかは分からない。

ウェブ依存の受発注業務と委託運用が持つ構造的リスク 解釈

本件では、ホームページが書籍の検索・選書から発注、問い合わせ窓口までを担っていた。そのため、サーバー1系統の停止が受発注業務の大半に直接影響した。全国の学校や書店とやり取りする組織では、ウェブ窓口の停止がそのまま取引先側の業務手順の変更につながる。本件でもメール・FAXによる手作業の代替運用に移っている。他方、連絡用メールが別ネットワーク・別事業者の管理だったことは、被害範囲を限定し、取引先との連絡手段を保つうえで有効だったと考えられる。また、障害の分析を運用・保守の委託先が担っていたことから、委託先との調査・初動の役割分担や、ログの保全範囲が、初動の速さを左右したと推測される。ただし、これらの体制の詳細は公表されていない。

対応

封じ込め
関連サーバー等を直ちにシャットダウン。ランサムウェア攻撃を受けた機器およびその可能性のある機器の利用停止、システムからの切り離し、当該ネットワークの遮断を実施済み。外部専門機関の協力を得て詳細調査を継続し、監視体制を強化している。
公表の仕方
2026-01-19に第1報を公表(第1報はランサムウェア攻撃の可能性が高いとの内容)。ホームページが使えないためnoteでも案内し、1月21日に追記。なりすましメール・フィッシングメールへの注意を呼びかけている。
当局対応
  • 警察(被害申告・相談、被害届の提出準備)

教訓と対策

教訓具体的な対策
受発注や問い合わせをウェブサイト1系統に集約していると、サーバー停止が中核業務の停止に直結する。ウェブ受注が停止した場合に備え、メール・FAXで使う注文書テンプレート(PDF/Excel)と受付手順を事前に用意し、年1回は代替運用の訓練を行う。
連絡用メールを被害系統と別ネットワーク・別事業者で運用していたことが、取引先との連絡維持につながった。公開Webサーバーと業務メール・社内基盤のネットワークを分離し、管理者アカウントや認証基盤も共有しない構成にする。分離の状態を構成図で定期的に確認する。
自社サイトが使えないと、障害の告知手段そのものが失われる。note・SNSなど自社サーバー外の告知先と、そこへログインできる担当者・認証情報(MFA付き)を平時から決めておく。取引先にも周知しておく。
運用・保守を委託している場合、初動の分析や機器の切り離しを委託先に頼ることになる。委託契約に、インシデント時の連絡時限、ログ保全の範囲・保存期間、外部フォレンジック事業者との連携手順を明記する。机上演習で実際に動くか検証する。
漏洩が未確定の段階でも、なりすまし・フィッシングへの注意喚起が必要になる。取引先向けに、正規の連絡元アドレスと、振込先・発注先変更の依頼を電話などで確認する手順を公開し、インシデント時にすぐ再告知できる文面を用意しておく。

自組織などでの確認項目

  1. 自組織の受発注・問い合わせ業務のうち、公開Webサーバーが止まると継続できなくなるものはどれか。また、その代替手順は文書化され、取引先に案内できる状態か。
  2. 公開Webサーバーと、業務メールや社内システムのネットワーク・管理者アカウント・委託事業者は分かれているか。片方が侵害された場合に、もう片方へ影響が及ぶ経路はないか。
  3. 運用・保守の委託先との契約で、障害発生時の分析依頼から報告までの時限やログ保全の義務が定められているか。
  4. 自社サイトが使えない場合に、どの外部チャネルで、誰の権限で第1報を出すかが決まっているか。

未解明点

  • 侵入経路(どの機器・サービスの脆弱性や認証情報が悪用されたか)は公表されていない。
  • 情報漏洩の有無の最終的な調査結果と、漏洩した場合の対象範囲・件数は公表されていない。
  • ホームページが実際に復旧した日付と、サーバーを再構築したかどうかは、渡された資料では確認できない。
  • 攻撃者名、犯行声明の有無、身代金要求の有無は公表されていない。
  • 障害発生(1月7日)から、ランサムウェアの可能性が判明しサーバーを停止するまでの具体的な日時は公表されていない。

出典

  1. 1
  2. 2
    セキュリティ対策Lab(合同会社ロケットボーイズ)2026-01-22報道本文確認済
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
    一般社団法人学校図書館図書整備協会2026-01-19公式本文確認済