群馬県立高校等の非常勤講師私物PCへのサポート詐欺(生徒・学生の個人情報ファイル削除、対象最大324名分)
公表日
群馬県の県立高校等で働く非常勤講師の私物パソコン1台がサポート詐欺パソコンの画面に「ウイルスに感染しました」「この番号に電話してください」といった偽の警告を大音量で表示し、電話をかけさせて遠隔操作ソフトを入れさせたり、お金を払わせたりする詐欺です。企業が多額の被害を受けた例もあります。に遭い、生徒・学生の個人情報を含むファイルが削除されました。対象は4校分で最大324名分(各校の人数の単純合計)です。
対象者は?
勢多農林高校の生徒96名、新田暁高校の生徒81名、伊勢崎興陽高校の卒業生36名、農林大学校の学生111名が対象です。含まれていた情報は氏名・学年・クラス・出席番号・性別・成績などで、伊勢崎興陽高校分は顔写真、農林大学校の一部は電話番号・メールアドレス・出身高校も含みます。住所やクレジットカード情報が含まれるとは発表されていません。流出が確認されたのではなく、流出した可能性があるとされています。
該当する方には、各校からメール(勢多農林高校・新田暁高校・農林大学校)または通知(伊勢崎興陽高校の卒業生)で連絡が行われたと発表されています。心当たりがあれば、各校からの連絡を確認してください。
いますぐできること
- 学校から連絡を受けた方は、メールや通知の内容を確認し、不明な点は各校に問い合わせる。
- 見覚えのない電話やメールが届いたときは、記載の番号やリンクを使わず、学校など公式の窓口で確かめる。
- パソコンに「ウイルスに感染しました」という表示と電話番号が出ても、電話をかけない。表示を閉じて、職場や家族に相談する。
何が起きたのか
2025年12月19日の13時頃、非常勤講師が自宅で教材を作っていたところ、パソコンの画面にウイルス感染の表示が出ました。表示された窓口に電話して指示に従うと、パソコンが遠隔操作されました。送金を指示された時点で詐欺と気づいて通信を切りましたが、教材や生徒・学生の個人情報を含むファイルが複数削除されていました。講師は同日13時40分頃に警察や勤務先、県教育委員会に報告しました。17時30分頃には県教育委員会の職員等がパソコンを調べ、削除されたファイルを確認しました。該当者には、19日夜から20日にかけてメールで、23日には卒業生へ通知で、報告とお詫びが行われました。県は12月25日に発表しました。
なぜ起きたのか・なぜ広がったのか
県の発表によると、講師の私物パソコンに偽のウイルス感染表示が出て、表示された窓口に電話したことで遠隔操作が行われました。そのパソコンには、複数の学校・年度で担当した生徒・学生の情報が保存されていました。なお、使われた遠隔操作ツールや、攻撃した相手についての情報は発表されていません。
いまの状況2026-01-19 時点
県は流出した可能性があるとしていますが、二次被害の報告は受けていないとしています。再発防止として、県教育委員会は所轄の全所属長や県立学校長等に、全職員と非常勤講師への注意喚起の徹底を指導し、個人情報の取扱いと管理の再周知を行うとしています。農林大学校も同様に行うとしています。個人情報が実際に流出したかどうかの調査結果は、まだ発表されていません。補償についても、まだ発表されていません。
企業として考えたいこと
自社で、非常勤・委託・兼務のスタッフが私物のパソコンで顧客や利用者の個人情報を扱う場面はないか。扱う場合、どこに保存し、被害に遭ったときに誰へ何分以内に報告する決まりになっているか。
技術的な要約
2025年12月19日13時頃、群馬県立高校及び県立農林大学校に勤務する非常勤講師が自宅で使っていた私物ノートパソコン1台がサポート詐欺の被害に遭った。画面のウイルス感染表示から表示された窓口に電話して遠隔操作され、送金の指示を受けた時点で詐欺と気づき通信を遮断したが、教材や生徒・学生の個人情報を含むファイルが複数削除されていた。対象は勢多農林高校96名、新田暁高校81名、伊勢崎興陽高校の卒業生36名、農林大学校111名の各校分で、氏名・成績などが含まれる。個人情報が流出した可能性はあるが、二次被害の報告は受けていないとされる。県は12月25日に発表し、該当者への報告と謝罪、全職員及び非常勤講師への注意喚起と周知徹底を行うとした。
公開情報が限られている点について
攻撃の分類
- 侵入口
- フィッシング公表で確認自宅で個人のノートパソコンを使用中、画面にウイルス感染の表示が出現。表示されたサポート窓口に電話し指示に従ったところ、パソコンの遠隔操作が行われた(県発表。いわゆる「サポート詐欺」)。
- 脆弱性
- 判明している脆弱性はありません
- 攻撃者
- 特定・主張なし
- ATT&CK
影響
- 業務停止
- なし 公表資料に業務停止の記載はない。被害は非常勤講師の私物パソコン1台内のファイル削除。
- データ
- おそれ上限 324確定 —人氏名性別電話メール業務データその他削除は確認済み、流出は可能性(おそれ)。内訳は勢多農林高校96名(氏名・学年・クラス・出席番号・性別・成績)、新田暁高校81名(同)、伊勢崎興陽高校の卒業生36名(同+顔写真)、農林大学校111名(氏名・性別・成績、一部は電話番号・メールアドレス・出身高校)。件数324は4校分の単純合計で、校間の重複有無は公表されていない。
- 波及先
- —
- 金銭影響
- —
- サプライチェーン
- —
時系列
- 2025-12-19 13:00
- 2025-12-19
- 2025-12-19 13:40
- 2025-12-19 17:30
- 2025-12-19
- 2025-12-20
- 2025-12-23
- 2025-12-25
- 2025-12-25
- 2026-01-19ScanNetSecurityが本件を報道。1
技術解説
事案の経緯:私物パソコンへのサポート詐欺 事実
2025年12月19日13時頃、県立高校及び県立農林大学校に勤務する非常勤講師が、自宅で教材を作るために個人のノートパソコンを使っていたところ、画面にウイルス感染の表示が出た。講師は画面に表示されたサポート窓口に電話し、指示に従った。するとパソコンの遠隔操作が行われた。送金の指示を受けたところで詐欺と気づき、通信を遮断した。その後すぐにパソコン内を確認すると、教材及び生徒・学生の個人情報を含むファイルが複数削除されていた。被害に遭ったのは私物のノートパソコン1台である。
影響範囲:4校分の情報と、流出の「可能性」 事実
削除された個人情報は4校分である。勢多農林高校は今年度の担当生徒96名分、新田暁高校は令和6年度の担当生徒81名分、伊勢崎興陽高校は令和5年度の担当の卒業生36名分、農林大学校は今年度及び令和6年度の担当学生111名分。高校分は氏名・学年・クラス・出席番号・性別・成績で、伊勢崎興陽高校は顔写真も含む。農林大学校は氏名・性別・成績で、一部の学生は電話番号・メールアドレス・出身高校も含む。県は、個人情報が流出した可能性があるとしつつ、現在のところ二次被害の発生等に関する報告は受けていないと発表した。流出が確認されたとは書かれていない。
対応と再発防止の公表内容 事実
同日13時40分頃、講師は警察へ報告し、勤務先の勢多農林高校、農林大学校及び県教育委員会にも報告した。17時30分頃には、勢多農林高校で県教育委員会職員等がパソコンの解析作業を行い、削除されたファイルを確認した。同日夜から12月20日にかけて、勢多農林高校、新田暁高校、農林大学校が該当する生徒・学生及び保護者へメールで報告と謝罪を行った。12月23日には伊勢崎興陽高校が該当する卒業生へ通知で報告と謝罪を行った。再発防止として、県教育委員会は所轄の全所属長・県立学校長等に、全職員及び非常勤講師への注意喚起の徹底を指導する。あわせて、個人情報等の取扱いと適正な管理について再度周知徹底を行うとした。
解釈:複数校・複数年度の情報が一台に集まる構造 解釈
各校の公表内訳を足すと96+81+36+111=324名分になる。ただしこれは単純合計であり、校間の重複の有無は公表されていないため、実人数とは限らない。また、流出は「可能性」の段階にとどまる。この件では、非常勤講師が複数の勤務先で担当した複数年度分の名簿・成績が、1台の私物パソコンにまとまっていた点が影響の広がりに関わったと考えられる。非常勤講師は勤務先が複数に及びやすく、私物端末を使う場面も生じうる。個人の注意だけに頼らず、データの置き場所と持ち出しの設計を組織で整える課題として捉えるのが妥当と思われる。なお、これは公表資料からの推測であり、県の運用の実態を断定するものではない。
対応
- 封じ込め
- 講師は送金の指示を受けた時点で詐欺と気づき通信を遮断した。同日13時40分頃に警察、勤務先及び県教育委員会へ報告し、17時30分頃に県教育委員会職員等がパソコンを解析して削除ファイルを確認した。
- 公表の仕方
- 12月19日夜から20日にかけて該当する生徒・学生及び保護者へメールで報告と謝罪、12月23日に伊勢崎興陽高校が卒業生へ通知、12月25日に県が発表した。再発防止として全職員及び非常勤講師への注意喚起の徹底と個人情報の取扱い・適正管理の再周知を行うとした。
- 当局対応
- 警察(講師が12月19日に報告)
教訓と対策
| 教訓 | 具体的な対策 |
|---|---|
| 私物端末に生徒・学生の個人情報が置かれうる状況は、個人の注意だけでは防ぎきれない | 名簿・成績などの個人情報は、私物端末のローカルに保存せず、校務用クラウドや校内サーバ上で扱う運用にする。非常勤講師向けには、私物端末からのダウンロードを制限し、必要な場合はMDMや仮想デスクトップ経由に限定する。 |
| 画面に出る偽のウイルス警告と、表示された電話番号への連絡が被害の起点になった | 「画面表示の番号には電話しない。表示を閉じて、組織の窓口に連絡する」という手順を、図入りの1枚資料で全職員・非常勤講師に配布する。管理端末にはブラウザの警告ポップアップ対策とリモートツールの導入制限を設定する。 |
| 遠隔操作を受けたあと、削除されたデータの復元と流出有無の判断が難しくなる | 業務データは定期的に自動バックアップされる保存先に置く。端末側ではEDRやログ取得を有効にし、遠隔操作ツールの起動履歴と外部通信先を後から追えるようにする。 |
| 被害に気づいた直後の報告の速さが、早期の解析と本人への連絡につながった | 通信遮断→警察・勤務先・教育委員会への報告という連絡先と順序を、緊急連絡カードとして常時携帯できる形にする。年1回は報告訓練を行い、報告から数時間以内に端末解析へ進める体制を確認する。 |
| 複数の学校にまたがる被害では、校ごとの通知手段と時期を揃えて管理する必要がある | 対象者の台帳(校・年度・項目別)を事案対応の初動で作成し、通知の手段と実施日を一覧管理する。保護者・卒業生の連絡先の有無に応じた通知方法を、あらかじめ定めておく。 |
自組織などでの確認項目
- 自組織では、非常勤・委託・兼務の職員が私物端末で個人情報を扱う場面があるか。扱ってよいデータの範囲は文書で定められているか。
- 偽のウイルス警告が出たとき、職員が最初に連絡する窓口はどこか。その連絡先は、全員がすぐに見つけられる場所に掲示されているか。
- 私物端末内のデータが削除された場合、バックアップから復元できるか。また、流出の有無を後から確認できるログは残るか。
未解明点
- 個人情報が実際に外部へ流出したかどうかの調査結果は公表されていない。
- 遠隔操作に使われたツールや、攻撃者の特定につながる情報は公表されていない。
- 削除されたファイルが復元できたか、また代替の保管先があったかは公表されていない。
- 4校の対象者324名分に重複があるかどうかは公表されていない。
出典
- 1ScanNetSecurity2026-01-19報道本文確認済
- 2群馬県2025-12-25公式本文確認済
- 3群馬県2025-12-25公式本文確認済