Integral Security Reportインテグラル セキュリティ レポート
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2026-r57744179その他最終確認 2026-10-14 17:48

社長・役員をかたる「CEO詐欺/ニセ社長詐欺」メール攻撃(約150社が注意喚起、LINEグループ作成・QRコード送付を要求)

公表日

不特定多数の国内法人(公開メールアドレス宛ての一斉配信の対象。特定の被害組織は公表情報から特定できない)
続報あり不正アクセスその他

社長や役員の名前をかたり、LINEグループの作成やQRコードの送付を求めるメールが、全国の法人に届いています。2026年1月7日までに約150社が注意喚起を出しました。

対象者は?

公開されているメールアドレスを持つ法人が対象になりえます。注意喚起を出した企業は約150社ですが、これは広報を出した数で、被害を受けた数ではありません。被害額や被害件数は公表されていません。

社長・役員の名前で、LINEグループの作成やQRコードの返信、口座情報の提供を求めるメールが届いていないかを確認してください。判断に迷う場合は、電話など、メール以外の方法で本人に確認してください。

いますぐできること

  • 社長や上司の名前で、LINEグループの作成やQRコードの送付を求めるメールが届いたら、従わずに、電話などメール以外の方法で本人に確認する。
  • 口座情報や通帳の画像の提供、送金の指示がメールだけで届いた場合は、実行せずに、別の経路で事実を確認する。
  • 不審なメールを受け取ったら、社内の担当部署や同僚に共有する。

何が起きたのか

2025年12月中旬から、社長や役員の実名をかたるメールが、公開されている法人のメールアドレス宛てに大量に送られていることが、ラックの観測で分かりました。メールは、業務を理由にLINEのグループ作成やMicrosoft Teamsのアカウント情報の提供を求め、グループ作成後はそのQRコードの返信を求めます。年末の休み明けの2026年1月5日以降にも、受信が再開したと確認されました。ラックは2026年1月21日に調査結果を発表しました。ラックが聞いたケースでは、通帳の画像を送った後に不審に気付いて金融機関などに届け出たため、金銭的な被害は出ませんでした。一方、報道では実際に被害が出ているとの指摘もあります。

なぜ起きたのか・なぜ広がったのか

メールの送信者名は簡単に偽装できるとされます。公開されているメールアドレスにあて、用意された文面と送信先リストで自動的に一斉配信されている点も、ラックの調査で分かっています。LINEグループの作成という一見ふつうの業務依頼から始まるため、気付きにくい面もあります。詳しい原因や、被害が出た組織の状況は、まだ発表されていません。

いまの状況2026-02-17 時点続報待ち

2026年2月17日時点では、栃木県警察などが注意喚起を続けています。ラックは、人事異動や決算処理が重なる2~3月の年度末に向けて、同様の手口の攻撃が続く可能性があるとしています。被害の件数や金額、攻撃した者については、まだ発表されていません。

企業として考えたいこと

もし社長の名前で、LINEグループの作成や送金を求めるメールが経理担当者に届いたら、あなたの会社では、誰がどの方法で本人確認をする決まりになっていますか。

技術的な要約

ラックは2026年1月21日、社長などをかたる「CEO詐欺」メール攻撃について、公開情報と同社の観測に基づく調査結果を発表した。この攻撃は2025年12月中旬から継続的に観測されており、企業の法人口座情報やアカウント情報を盗み出すことを目的とした攻撃とみられる。メールは現在または過去の代表者・役員の実名をかたり、LINEのグループ作成やMicrosoft Teamsのアカウント情報の提供、グループのQRコードの返信を要求する。ラックの調査では、2026年1月7日までに約150社が注意喚起の広報を出していた。ラックが関係者から聞いたケースでは、銀行通帳の画像を送信した後に不審に気付いて金融機関などへ届け出たため、金銭的被害は発生しなかった。一方、報道では実被害が出ているとの指摘もあり、ラックは2~3月の年度末に向けて同様の攻撃が続く可能性があるとしている。

公開情報が限られている点について
特定の被害組織や被害額・流出件数は公表されておらず、sourcesは渡された5件に限られる(最低量の8件には届かない)。
侵入
—
被害発生
2025-12
検知
2025-12
第1報公表
2026-01-09
最新続報
2026-02-17
侵入 → 検知
—
侵入日が非公表
検知 → 公表
—
データ(上限)
—
確定 —
波及先
150
社(2026年1月7日までに注意喚起の広報を出した企業数)

攻撃の分類

侵入口
フィッシング報道・研究者
現在または過去の代表者や役員の実名をかたるメールを、公開されている法人等のメールアドレス宛てに、あらかじめ用意されたテンプレートと送信先リストを用いて自動化された仕組みで一斉配信。業務上の必要性を口実に、LINEグループ作成とQRコード返信、Microsoft Teamsのアカウント情報の提供を要求する(ラック)。福島銀行は、メール内の案内に従うと外部サイトや不審ソフトのダウンロードに誘導され端末やアカウントが乗っ取られる手口も確認されているとしている。
脆弱性
CVE 非公表不明
ソフトウェアの脆弱性の悪用は公表されていない。報道は、メールアドレスおよび送信者の名前は容易に偽装できるため、こうした手口に使われることは避けられないと述べている。
攻撃者
特定・主張なし
ATT&CK

影響

業務停止
なし 公表情報に業務停止の記載はない。
データ
おそれ上限 —確定 —
口座
件数は公表されていない。攻撃の目的は法人口座情報やアカウント情報の窃取とみられる。ラックが聞いたケースでは、LINEグループのQRコード返信後に銀行通帳の画像を送信したが、金融機関などへの届け出により金銭的被害は発生しなかった。
波及先
150 社(2026年1月7日までに注意喚起の広報を出した企業数)
  • 福島銀行(2026年1月9日付で顧客向けに注意喚起)
金銭影響
ラックが聞いたケースでは金銭的被害なし。報道では実被害が出ているとの指摘があるが、金額は公表されていない。
サプライチェーン
委託先や取引先の侵害を起点とする事案としては公表されていない。

時系列

  1. 2025-12
    ラックが、CEOをかたるメール攻撃を2025年12月中旬から継続的に観測。1
  2. 2025-12
    メールは12月の第2~3週に大量送信されたと推測される。1
  3. 2025-12-23
    企業による注意喚起の広報が2025年12月23~25日に集中。1
  4. 2025-12
    2025年末頃から、社長や上司の名前を装ったメールが急増。2
  5. 2026-01-05
    仕事始めの2026年1月5日以降、ラックの観測で受信の再開を確認。1
  6. 2026-01-07
    2026年1月7日までに約150社が注意喚起の広報を出していたことをラックが確認。1
  7. 2026-01-09
    福島銀行が顧客向けに「社長・役員を名乗る不審メールにご注意ください」を公表。警視庁の注意喚起チラシが付されている。3
  8. 2026-01-14
    警視庁匿名・流動型犯罪グループ対策本部がXで、社長などをかたるニセメールによる被害への注意を呼びかけ。2
  9. 2026-01-16
    PC Watchが、警視庁の警告とLINEグループ招待を求める偽メールの急増を報道。2
  10. 2026-01-21
    ラックがCEO詐欺メール攻撃の調査結果を発表。1
  11. 2026-02-04
    @ITが、ラックの分析と警察庁の注意喚起を報道。1
  12. 2026-02-17
    栃木県警察が「ニセ社長詐欺に注意!」を掲載。4
  13. 2026-02
    栃木県警察サイバー対策センターが「サイバーだより」で、社長になりすましたメールへの注意を呼びかけ。5

技術解説

攻撃の構造:公開アドレス宛ての自動化された一斉配信 事実

ラックによると、この攻撃は2025年12月中旬から継続的に観測されている。メールは現在または過去の代表者や役員の実名をかたり、業務上の必要性を口実にLINEのグループ作成やMicrosoft Teamsのアカウント情報の提供を求める。グループ作成後はそのQRコードの返信を要求し、参加者は偽の代表者が指定するという。あらかじめ用意されたテンプレートと送信先リストを用い、自動化された仕組みで一斉配信されていることも分かっている。警視庁の資料は、経営者等をかたり、インターネット上で公開されている法人等のメールアドレス宛てに業務命令を装って送り、指定口座へ送金させる手口と説明している。ソフトウェアの脆弱性の悪用は公表されていない。

確認されている被害の範囲と、公表されていない点 事実

ラックが関係者から聞いたケースでは、LINEグループのQRコード返信後に銀行通帳の画像送信を求められた。画像を送った後に不審に気付き、直ちに金融機関などへ届け出たため、金銭的被害は発生しなかった。一方、PC Watchは、経理担当者などを含むグループを作ると支払い名目で振り込ませる詐欺であり、すでに実被害が出ているとの報道もあると伝えている。警視庁の資料も被害の発生に言及している。ラックの調査では、2026年1月7日までに約150社が注意喚起の広報を出していた。これは広報を出した企業の数であり、被害を受けた企業の数ではない。被害額や流出件数、特定の被害組織は公表されていない。

広がりやすさの背景(解釈) 解釈

この手口は、ソフトウェアの欠陥ではなく、メールの送信者名が容易に偽装できる点と、法人の公開メールアドレスが入手しやすい点に依存しているように見える。報道もこの偽装が避けがたいと述べている。要求の内容も、LINEグループの作成という一見ふつうの業務依頼で始まるため、受信者が警戒しにくいと考えられる。複数の企業が同時期に注意喚起を出したのは、自動配信により多数の組織へ同じ文面が届いたためと読める。また、ラックは2~3月の年度末に人事異動や決算処理が重なることを挙げ、攻撃が続く可能性を指摘している。ただし、これらは公表された事実からの推測であり、攻撃者の意図や実際の成功率は公表されていない。

公表と注意喚起の動き(解釈) 解釈

福島銀行が2026年1月9日付で顧客向けに注意喚起を出し、警視庁が1月14日にXで、ラックが1月21日に調査結果を発表した。栃木県警察も2026年2月に注意喚起を掲載している。民間企業、金融機関、警察が別々の立場から同じ手口を示しており、情報が複数の経路で行き渡る形になっている。特定の被害組織が公表されていない事案のため、組織の対応の巧拙を評価することはできない。注意喚起の内容は、メール以外の手段での確認、新規SNS利用の指示への警戒、社内共有に集約されており、受け手の行動で防ぐ対策が中心である。今後は被害の実数や手口の変化が公表されるかが焦点になると考えられる。

対応

封じ込め
被害組織による遮断の公表はない。ラックは組織向けの対策として、新たな外部ツール利用・グループ作成のルール策定、アカウント情報のメール提出を認めない運用の検討、不審メールの共有・報告体制の整備、対応手順の整備と訓練を挙げている。福島銀行は、外部SNSグループ作成依頼やQRコード送付の指示には従わず、口座情報・個人情報の開示や送金指示はメールでは受け付けないとしている。
公表の仕方
福島銀行が2026年1月9日付で顧客向けに注意喚起を公表。ラックが2026年1月21日に調査結果を発表。警視庁が2026年1月14日にXで注意喚起し、栃木県警察が2026年2月に注意喚起を掲載。
当局対応
  • 警視庁 匿名・流動型犯罪グループ対策本部(2026-01-14 Xで注意喚起)
  • 警察庁(Xで「ニセ社長詐欺」として注意喚起。送金メールは電話やファクスなどメール以外の方法で確認するよう呼びかけ)
  • 栃木県警察(2026-02 注意喚起)

教訓と対策

教訓具体的な対策
送信者名や表示名は簡単に偽装でき、実名が使われていても本人とは限らない。外部メールに「外部」の警告表示を自動付与し、役員名と表示名が一致する外部送信元には強い警告を出すルールをメールゲートウェイに設定する。役員の実名リストを作成し、表示名の偽装検知に使う。
新しい外部ツールの利用やグループ作成を急に指示する連絡は、詐欺の入口になりうる。LINEなど外部SNSの業務利用やグループ作成の手順を規程で定め、メールだけの指示で開始しないルールにする。例外時は、電話や社内チャットなど登録済みの別経路で本人確認を行う。
送金や口座情報の提示は、メールだけの指示で実行できないようにする必要がある。支払いシステムで、新規口座への送金や口座変更に、二人以上の承認と、登録済み連絡先への電話確認を必須にする。口座残高や通帳の画像をメールやチャットで送らない運用を定める。
不審メールが届いた事実を早く共有できると、被害の拡大を抑えやすい。不審メールの報告窓口を一本化し、ワンクリックで報告できるボタンを導入する。受信した同一文面を全社で検索・隔離できる手順を整え、経理部門にも即時に周知する。
公開されているメールアドレスは、一斉配信の宛先リストに使われやすい。公開窓口のアドレスを定期的に棚卸しして、代表アドレスなどに集約し、フィルタ設定を強化する。SPF、DKIM、DMARCを自社ドメインに設定して、自社ドメインのなりすましを拒否する。
年度末など業務が忙しい時期は、確認が省略されやすい。2~3月の前に、経理・総務向けの模擬訓練を実施し、疑わしい指示を受けた場合の確認手順を演習する。訓練結果から手順の抜けを見直す。

自組織などでの確認項目

  1. 自社の経理担当者が、社長名義のメールでLINEグループ作成や送金を指示された場合、誰にどの手段で確認する手順になっているか。
  2. 自社の公開メールアドレス(問い合わせ窓口など)は何件あり、役員名を表示名に使った外部メールに警告が表示される設定になっているか。
  3. 新規口座への送金や口座情報の提供について、メール以外の経路での確認と二人以上の承認が、実際の運用で例外なく守られているか。
  4. 不審メールを受け取った従業員が、迷わず報告できる窓口があり、全社への共有が当日中に行える体制になっているか。

未解明点

  • 実際に金銭被害を受けた組織の数と被害額は、どれくらいか。公表情報には件数も金額も示されていない。
  • 攻撃の背後にいる主体は誰か。攻撃者名や攻撃者の主張は公表されていない。
  • 送信先リストはどのように作成されたのか。公開されているアドレスのみを使ったのか、他の情報も使ったのか。
  • メール内の案内から外部サイトや不審ソフトに誘導された事例は、どの程度あるのか。

出典

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
    栃木県警察2026-02-17当局本文確認済
  5. 5
    栃木県警察 サイバー対策センター2026-02当局本文確認済