マルタケ(医薬品卸)へのランサムウェア攻撃(サーバー障害・復旧長期化、個人情報の流出は未確認)
公表日
新潟市の医薬品卸・マルタケで、2026年4月27日にサーバー障害が発生し、後にランサムウェア会社のパソコンやサーバーのデータを勝手に暗号化(鍵をかけて読めない状態に)し、「元に戻してほしければお金を払え」と要求するマルウェアです。データが使えなくなるため、受注・出荷・診療などの業務そのものが何日も止まることがあります。による障害と確定した。個人情報等の外部流出は、第3報(5月8日)の時点では確認されていない。
対象者は?
マルタケから医薬品等の供給を受ける、新潟・山形・宮城・秋田・東京・群馬の医療機関・調剤薬局が主な関係先。一部業務に影響が出ているが、代替手段で供給は続いている。個人情報等の外部流出は、第3報の時点では確認されていない(調査は継続中)。流出の件数や対象者の範囲は、まだ発表されていない。
取引のある方は、マルタケからの案内や担当者への問い合わせで確認してください。マルタケ自身の公式発表の本文は、今回入手した出典には含まれていません。
いますぐできること
- マルタケと取引のある医療機関・薬局は、納品や受発注の方法が変わっていないか、マルタケの担当者に確認する。
- マルタケから届く連絡は、案内された正規の連絡先かどうかを確かめてから対応する。
何が起きたのか
2026年4月27日、マルタケの一部のサーバーで障害が起きた。4月28日に第1報が出され、翌29日の第2報では、外部からの不正アクセス使う権限のない人が、他人のIDやパスワード、システムの弱点を使って、サービスやサーバーに入り込むことです。日本では「不正アクセス禁止法」で禁止されている犯罪です。(ランサムウェア会社のパソコンやサーバーのデータを勝手に暗号化(鍵をかけて読めない状態に)し、「元に戻してほしければお金を払え」と要求するマルウェアです。データが使えなくなるため、受注・出荷・診療などの業務そのものが何日も止まることがあります。)の可能性があるとして警察に被害届を出したと発表された。5月8日の第3報で、外部からの不正アクセスによるランサムウェアによる障害だと確定した。5月6日には、ランサムウェアグループ The Gentlemen が犯行声明を出し、交渉が始まらなければ企業データを公開すると脅した。ただし、これは攻撃者側の主張で、マルタケの公式発表には同グループへの言及がない。6月24日には第4報が出された。
なぜ起きたのか・なぜ広がったのか
侵入経路や侵入日は、まだ発表されていない。The Gentlemen はFortiGate VPNの脆弱性を主要な侵入路にしていると紹介されているが、これは同グループについての一般的な情報で、マルタケに当てはまるかどうかは確認されていない。
いまの状況2026-06-24 時点続報待ち
第3報の時点では、一部業務で通常対応が難しい状況が続いていたが、代替手段を使って医薬品等の供給は続けられていた。バックアップデータからの復旧作業が進められており、完全復旧には相当の日数がかかる見込みで、明確な復旧日は示されていない。個人情報等の外部流出は第3報の時点で確認されておらず、調査は続いている。第4報の内容と、再発防止策は、まだ発表されていません。
企業として考えたいこと
自社の基幹システムが長期間止まったとき、取引先への供給や連絡を続けるための代替手段は、実際に動かせる状態になっていますか。
技術的な要約
医薬品卸の株式会社マルタケは、2026年4月27日に一部サーバでシステム障害が発生し、4月28日に第1報を公表した。4月29日の第2報で外部からの不正アクセス(ランサムウェア)の可能性を示し、警察へ被害届を提出した。5月8日の第3報で「外部からの不正アクセスによるランサムウェアによる障害」と確定し、完全復旧には相当の日数を要する見込みとした。一部業務で通常対応が困難な状況が続くが、代替手段で医薬品等の供給は継続している。個人情報等の外部流出は第3報時点で確認されておらず調査を継続しており、6月24日に第4報が発表された。5月6日にはランサムウェアグループ The Gentlemen が犯行声明を出したが、マルタケの公式発表には同グループへの言及がない。
公開情報が限られている点について
攻撃の分類
- 侵入口
- 不明マルタケの公表では「外部からの不正アクセスによるランサムウェアによる障害」とされるのみで、侵入経路は示されていない。
- 脆弱性
- CVE-2024-55591報道・研究者FortiGate VPNセキュリティ対策Labが The Gentlemen の主要侵入路として紹介した一般的な情報。マルタケへの適用は確認されていない。
- 攻撃者
- The Gentlemen 被害組織は認めていない2026年5月6日に犯行声明を公表し、交渉が開始されなければ機密の企業データを公開すると脅迫した。
- ATT&CK
影響
- 業務停止
- あり 一部業務で通常対応が困難な状況が継続。代替手段を講じながら医薬品等の供給は継続している。完全復旧には相当の日数を要する見込みで、明確な復旧日は示されていない。期間:2026-04-27の障害発生から、第3報(5月8日)時点でも継続
- データ
- 調査中上限 —確定 —第3報時点で個人情報等の外部流出は確認されていないが、調査は継続中。The Gentlemen はデータ公開を示唆する脅迫を投稿している(犯行声明)。
- 波及先
- —
- 新潟・山形・宮城・秋田・東京・群馬の医療機関・調剤薬局への供給に影響(報道)
- 金銭影響
- —
- サプライチェーン
- —
時系列
- 2026-04-27マルタケの一部サーバでシステム障害が発生。5
- 2026-04-28
- 2026-04-29第2報で外部からの不正アクセス(ランサムウェア)の可能性を公表し、警察へ被害届を提出。3
- 2026-05-06ランサムウェアグループ The Gentlemen がマルタケへの攻撃について犯行声明を公表。6
- 2026-05-06The Gentlemen が、企業代表者が連絡しなければまもなく全データを公開するとの脅迫を投稿。6
- 2026-05-08
- 2026-05セキュリティ対策Labが、The Gentlemen のデータリークサイトにマルタケ等日本企業3社が掲載されていることを確認。3
- 2026-06-24第4報を発表。5
技術解説
公表の経緯(第1報〜第4報) 事実
マルタケでは2026年4月27日に一部サーバでシステム障害が発生し、4月28日の第1報で発表された。第1報では、外部からの不正アクセス(ランサムウェア)による影響の可能性を含めて原因調査と復旧を進めるとし、一部業務に遅延・影響が出る可能性があるとした。翌4月29日の第2報では不正アクセス(ランサムウェア)の可能性を公表し、警察へ被害届を提出した。5月8日の第3報では「外部からの不正アクセスによるランサムウェアによる障害」と確定した。これは障害発覚から約10日後にあたる。6月24日には第4報が発表されたが、その内容は入手した出典からは分からない。
業務への影響と復旧状況 事実
第3報の時点で、一部業務では通常対応が困難な状況が続いている。一方で、代替手段を講じながら医薬品等の供給は継続している。完全復旧までには相当の日数を要する見込みで、明確な復旧日は示されていない。バックアップデータからの復旧作業が進められており、警察への被害届は提出済みで、関係当局と連携している。マルタケは新潟市西区に本社を置き、医薬品・医療器材・衛生材料・介護用品を扱う卸である。新潟・山形・宮城・秋田・東京・群馬の医療機関・調剤薬局に供給しており、従業員は477名と報じられている。
データ流出の確認状況と犯行声明 事実
第3報の時点では、個人情報等の外部流出は確認されておらず、調査は継続中とされている。一方、2026年5月6日にランサムウェアグループ The Gentlemen が犯行声明を公表した。声明では、交渉が開始されなければ機密の企業データを公開すると脅迫し、企業の代表者が提示した連絡経路で接触しない限りまもなく全データを公開するとした。これは攻撃者側の主張である。各社の公式発表には同グループへの言及がなく、リークサイトへの掲載はセキュリティ対策Labの独自調査による確認である。同Labは、掲載が情報流出を意味するものではないと注意している。
公開情報から読み取れること・読み取れないこと 解釈
第1報から第3報までは、可能性の表明から確定へと、調査の進展に合わせて段階的に更新されている。ただし、侵入経路・侵入日・第4報の内容は入手した出典から分からない。流出の有無についても、最新の状況は判断できない。The Gentlemen の主要侵入路として FortiGate VPN の脆弱性 CVE-2024-55591 が紹介されているが、これは同グループに関する一般的な情報であり、マルタケへの適用は確認されていない。報道は、3社の被害時期が短期間に集中していることから組織的な攻撃キャンペーンの一環と考えられるとしている。ただしこれも推測であり、マルタケの侵入経路を示すものではない。
対応
- 封じ込め
- 原因の調査と復旧作業を進め、バックアップデータから復旧作業中。代替手段を講じながら医薬品等の供給を継続。
- 公表の仕方
- 2026年4月28日の第1報、4月29日の第2報、5月8日の第3報、6月24日の第4報と段階的に公表。第3報で個人情報等の外部流出は未確認とした。
- 当局対応
- 警察に被害届を提出
- 関係当局と連携して調査を継続
教訓と対策
| 教訓 | 具体的な対策 |
|---|---|
| 医療・医薬品流通では、サーバ障害が供給に直結するため、停止時の代替手段を事前に用意しておく必要がある。 | 基幹システム停止を想定した手作業での受発注・出荷手順書を整備し、年1回は実機を止めた訓練を行う。重要業務ごとにRTO・RPOを定め、復旧優先順位表を作成する。 |
| 完全復旧に相当の日数を要する見込みとされており、バックアップからの復旧が長期化しうる。 | バックアップは本番と認証基盤を分離したオフライン/イミュータブル領域に保管する。復旧手順を定期的に実データで検証し、リストアに要する時間を実測して記録する。 |
| 侵入経路が公表されていない段階でも、同種グループの一般的な侵入路(VPN等の境界機器)を自社で点検できる。 | 境界機器のファームウェア版数と公開管理画面を棚卸しし、CISAのKEV等にある既知脆弱性(例:CVE-2024-55591)への対応状況を確認する。パッチ適用のSLAを定め、VPNの多要素認証を必須にする。 |
| 犯行声明の主張と、被害組織の確認事項は区別して扱う必要がある。 | インシデント対応手順に、ダークウェブ/リークサイトの監視と、主張を検証するフォレンジック手順(送信ログ・ファイルアクセスログの保全と分析)を組み込む。広報文では「確認済み」と「主張」を分けて記載する。 |
| 状況が変わるたびに段階的な続報を出すことで、取引先は影響範囲を把握しやすくなる。 | 第1報から続報までの公表ひな形と判断基準(確定/可能性/未確認の書き分け)を事前に用意する。取引先向けの連絡網と代替連絡手段(メール以外)を整備しておく。 |
自組織などでの確認項目
- 自社の基幹システムが数週間使えなくなった場合、受発注・出荷・請求をどの手順で続けられるか。その手順は実際に試したことがあるか。
- 自社のバックアップは、ネットワークや管理者権限から切り離されているか。直近でリストアに要した時間を実測しているか。
- 自社が使っているVPN等の境界機器は、すべて把握できているか。既知の脆弱性への対応状況を、今日中に一覧で示せるか。
- 攻撃者がデータ公開を予告した場合、自社では誰が何を根拠に流出の有無を判断し、どの文言で公表するか。事前に決まっているか。
未解明点
- マルタケの侵入日と侵入経路は、まだ公表されていない。
- 第4報(2026年6月24日)の内容は、入手した出典からは分からない。
- 個人情報等の外部流出の有無について、第3報以降の最新の調査結果は確認できていない。The Gentlemen の主張の真偽もまだ分からない。
- 完全復旧の時期や、再発防止策の具体的な内容は、まだ発表されていない。
出典
- 1日刊薬業(じほう)2023-06-06報道本文確認済
- 2セキュリティ対策Lab(合同会社ロケットボーイズ)2026-05-11報道本文確認済
- 3セキュリティ対策Lab(合同会社ロケットボーイズ)2026-05-15報道本文確認済
- 4ScanNetSecurity2026-05-15報道本文確認済
- 5ScanNetSecurity2026-07-15報道本文確認済
- 6DeXpose2026-05-06研究者本文確認済