北九州市立大学の事務職員PCへのサポート詐欺による遠隔操作(教員57名・学生等8名分の個人情報漏洩のおそれ)
公表日
北九州市立大学の事務職員のパソコンが、偽の警告画面をきっかけに約10分間、遠隔操作されました。教員57名分と学生等8名分の個人情報が見られた可能性があります(現時点の把握数で、増える可能性があります)。
対象者は?
公表された範囲では、退職・採用教員の一覧(2023〜2026年度)にある教員57名の氏名・生年月日・前職・採用退職日と、研究補助従事に係る申請書(2025〜2026年度)にある学生等8名の氏名・学籍番号・携帯電話番号・メールアドレスが対象のおそれです。公表された項目には、住所や口座、クレジットカードの情報は挙げられていません。流出が確認されたとは発表されていません。
大学の公式お知らせで詳細を確認してください。大学は詳細を別途案内するとしています。心当たりのある方は、北九州市立大学総務課(電話 093-964-4004)に問い合わせられます。
いますぐできること
- 該当するかもしれない教員・学生等の方は、大学の公式お知らせを確認し、不明な点は総務課(093-964-4004)に問い合わせる。
- 公表された情報には携帯電話番号やメールアドレスが含まれるため、身に覚えのない電話・SMS・メールに応じたり、リンクを開いたりしない。
- パソコンに「ウイルス感染」などの警告が出たら、表示された番号に電話せず、ファイルも実行せず、画面を閉じて職場の担当部署に知らせる。
何が起きたのか
2026年5月25日の午後1時40分ごろ、大学の事務職員が学内ネットワークにつながったパソコンでファイル共有サービスを使っていると、偽の警告画面が表示されました。案内に従ってファイルを実行したところ、遠隔操作用のツールが入り、第三者がパソコンを操作できる状態になりました。10分ほどたった午後1時50分ごろ、職員が動作の異変に気づいて学内のセキュリティ担当に報告し、ネットワークを切りました。大学は5月26日にこの件を公表し、パソコンに保存されていた個人情報が見られた可能性があるとしています。
なぜ起きたのか・なぜ広がったのか
公式発表では、ファイル共有サービスで資料をやり取りする途中で偽の警告画面に誘導され、ファイルを実行したことが原因とされています。操作が遠隔で行われた約10分間に、パソコン内の個人情報ファイルが見られた可能性を排除できないため、大学は「おそれ」として公表しました。実際に何が見られたかは、まだ発表されていません。
いまの状況2026-06-08 時点続報待ち
2026年6月8日時点で、大学は調査を続けています。件数は現時点の把握数で、増える可能性があります。このパソコン以外の学内システムへの不正アクセス使う権限のない人が、他人のIDやパスワード、システムの弱点を使って、サービスやサーバーに入り込むことです。日本では「不正アクセス禁止法」で禁止されている犯罪です。や被害の報告は確認されていません。小倉南警察署に情報提供し、協議しています。対象者への個別の連絡や再発防止策の詳細は、まだ発表されていません。
企業として考えたいこと
自社の事務用パソコンに偽の警告画面が表示されたとき、社員が数分以内に報告し、ネットワークから切り離せる手順は整っていますか。また、そのパソコンに個人情報の一覧が残っていませんか。
技術的な要約
北九州市立大学は2026年5月26日、同月25日に事務職員のパソコンがサポート詐欺の手口で遠隔操作を受け、保存していた個人情報が漏洩した可能性があると発表した。13時40分頃、ファイル共有サービスの利用中に偽の警告画面が表示され、誘導されたファイルを実行したことで遠隔操作ツールがインストールされた。13時50分頃に職員が異変に気づき、学内情報セキュリティ部門へ報告してネットワークを遮断した。遠隔操作は約10分間で、漏洩のおそれがあるのは教員57名分と学生等8名分(現時点の把握数)で、調査継続中のため増える可能性がある。当該パソコン以外の学内システムへの不正アクセスや被害の報告は確認されておらず、小倉南警察署に情報提供・協議中である。
公開情報が限られている点について
攻撃の分類
- 侵入口
- フィッシング公表で確認公式発表では「ファイル共有サービスを利用したデータ授受の過程において、偽の警告画面に誘導され、ファイルを実行し、その結果、第三者による当該パソコンの不正な遠隔操作が行われた」とされる。サポート詐欺(テクニカルサポート詐欺)の手口で、遠隔操作ツール(リモートアクセスツール)がインストールされた。
- 脆弱性
- 判明している脆弱性はありません
- 攻撃者
- 特定・主張なし
- ATT&CK
影響
- 業務停止
- なし 当該パソコン以外の学内情報システムへの不正アクセスや不具合は確認されていない。当該PCは異変の確認後にネットワークを遮断した。
- データ
- おそれ上限 65確定 —人氏名生年月日電話メール従業員情報その他教員関連:退職・採用教員一覧(2023〜2026年度)57名(氏名・生年月日・前職・採用退職日)。学生等関連:研究補助従事に係る申請書(2025〜2026年度)8名(氏名・学籍番号・携帯電話番号・メールアドレス)。records_maxは両者の単純合計(57+8=65)。いずれも現時点の把握数で、調査継続中のため増加する可能性がある。流出の確定は公表されていない。
- 波及先
- —
- 金銭影響
- —
- サプライチェーン
- —
時系列
技術解説
攻撃の経過:偽の警告画面から遠隔操作の開始まで 事実
2026年5月25日13時40分頃、事務職員が学内ネットワークに接続されたパソコンでファイル共有サービスを利用していると、偽の警告画面が表示された。誘導されたファイルを実行した結果、遠隔操作ツール(リモートアクセスツール)がインストールされ、第三者による遠隔操作が始まった。公式発表は原因を「ファイル共有サービスを利用したデータ授受の過程において、偽の警告画面に誘導され、ファイルを実行し、その結果、第三者による当該パソコンの不正な遠隔操作が行われた」と記している。報道は、この手口をサポート詐欺(テクニカルサポート詐欺)の手口と伝えている。
検知と封じ込め:約10分間の遠隔操作 事実
13時50分頃、事務職員が動作の異変に気づき、学内情報セキュリティ部門に報告したうえでネットワークを遮断した。遠隔操作が行われていた時間は約10分間である。大学は、当該パソコン以外の学内情報システムへの不正アクセスや不具合は確認しておらず、現時点で何らかの被害の報告もないとしている。警察対応としては、小倉南警察署に情報提供し、協議中である。大学は2026年5月26日に公式サイトで「不正アクセスによる個人情報漏洩のおそれに関するお知らせとお詫び」を公表し、関係者への謝罪を示した。
対象となりうる情報と件数の読み方 事実
漏洩の可能性がある情報は二つに分かれる。教員関連は、退職・採用教員の一覧(2023〜2026年度)で、現時点で57名分、氏名・生年月日・前職・採用退職日が含まれる。学生等関連は、研究補助従事に係る申請書(2025〜2026年度)で、現時点で8名分、氏名・学籍番号・携帯電話番号・メールアドレスが含まれる。件数はいずれも現時点の把握数で、調査継続中のため増加する可能性があるとされる。約10分間の遠隔操作中にファイルが閲覧・窃取された可能性を排除できないため、大学は「漏洩のおそれ」として公表した。流出が確認されたとの発表は、確認できる範囲ではない。
短時間でも影響が生じうる構造(解釈) 解釈
今回の入口は、職員が日常業務のファイル共有中に表示された警告に従い、自らファイルを実行した点にあると読める。脆弱性の悪用とは異なり、正規の利用者の操作を起点とするため、境界の防御だけでは止めにくい類型だと考えられる。一方で、約10分で異変に気づいて報告し、ネットワークを遮断したことは、他システムへの波及が確認されていない状況と整合する。ただし、遠隔操作中にどのファイルが実際に参照されたかは公表されていない。端末内に個人情報の一覧や申請書が置かれていたことが、対象情報の範囲を決める要素になったと推測できる。
対応
- 封じ込め
- 事務職員が13時50分頃に異変に気づいて学内情報セキュリティ部門に報告し、ネットワークを遮断した。当該パソコン以外の学内情報システムへの不正アクセスや不具合は確認されていない。
- 公表の仕方
- 2026年5月26日に公式サイトで「不正アクセスによる個人情報漏洩のおそれに関するお知らせとお詫び」を公表。約10分間の遠隔操作中にファイルが閲覧・窃取された可能性が排除できないため漏洩のおそれとして発表し、調査継続中とした。問い合わせ先は総務課(TEL 093-964-4004)。
- 当局対応
- 小倉南警察署(情報提供・協議中)
教訓と対策
| 教訓 | 具体的な対策 |
|---|---|
| 偽の警告画面に従ってファイルを実行できてしまう状況が、遠隔操作ツール導入の入口になりうる。 | WDAC や AppLocker などのアプリケーション制御で、承認されていない実行ファイルとリモートアクセスツールの実行を既定で禁止する。ダウンロードフォルダや一時フォルダからの実行もブロックし、業務で必要なツールだけを許可リストに載せる。 |
| 異変に気づいてから報告・遮断までが早いほど、遠隔操作の時間と閲覧されうる範囲を抑えられる。 | EDR にネットワーク隔離機能を設定し、セキュリティ部門が遠隔から端末を即時隔離できるようにする。職員向けに、異変時の報告窓口と「まず LAN ケーブルや Wi-Fi を切る」手順を一枚にまとめ、訓練で定期的に確認する。 |
| 個人情報を含む一覧や申請書が職員の端末内に置かれていると、1台の侵害がそのまま情報の閲覧につながる。 | 個人情報を含むファイルは端末ローカルに置かず、アクセス制御付きのファイルサーバやクラウドに集約する。DLP で端末内の個人情報ファイルを検出し、保存期間を過ぎたものは削除する運用を定める。 |
| ブラウザやサービス利用中に出る警告画面を、利用者が本物かどうか判断するのは難しい。 | 「警告に表示された電話番号へかけない、ファイルを実行しない、画面を閉じて報告する」を基本動作として教育し、サポート詐欺を想定した疑似画面の訓練を行う。あわせて、ブラウザのポップアップ制御とリモートアクセス用ドメインへの通信制限(プロキシや DNS フィルタ)を設定する。 |
自組織などでの確認項目
- 自組織の事務用PCで、未承認の実行ファイルやリモートアクセスツールの導入を技術的に止められる設定になっているか。
- 職員が偽の警告画面に遭遇したとき、誰にどの手段で報告するか、ネットワーク遮断を誰が判断するかは、全員が説明できる状態か。
- 職員のPC内に、退職者・採用者の一覧や各種申請書など個人情報を含むファイルが、保存期間を超えて残っていないか。棚卸しを最後に行ったのはいつか。
未解明点
- 約10分間の遠隔操作中に、実際にどのファイルが閲覧・持ち出されたのか。ログ等による確認結果は公表されていない。
- 対象者(教員・学生等)への個別の連絡や、件数が増えた場合の追加公表があるかは、まだ発表されていない。
- インストールされた遠隔操作ツールの種類や、再発防止策の具体的内容は公表されていない。
出典
- 1合同会社ロケットボーイズ(セキュリティ対策Lab)2026-05-27報道本文確認済
- 2ScanNetSecurity2024-04-11報道本文確認済
- 3ScanNetSecurity2026-06-08報道本文確認済
- 4公立大学法人北九州市立大学2026-05-26公式本文確認済